クモザル(その他表記)spider monkey

翻訳|spider monkey

改訂新版 世界大百科事典 「クモザル」の意味・わかりやすい解説

クモザル
spider monkey

霊長目オマキザル科クモザル属Atelesに属する比較的大型の新世界ザルの総称手足が細長く,尾も長くて器用で把握能力に富んでおり,それらがクモの脚を思わせるのでクモザルと呼ばれる。クロクモザルA.paniscusケナガクモザルA.belzebuth,チャアタマクモザルA.fusciceps,チュウベイクモザルA.geoffroyiの4種が区別され,中央アメリカから,東部南部を除く南アメリカにわたって広く分布する。樹上で生活し,行動が活発で上肢と尾を使って巧みに枝を渡り歩く。食物はおもに漿果(しようか)あるいはナッツである。クモザルの単位集団は複数のおとなの雄を含む20~30頭の集団であると考えられているが,そのまとまりはひじょうにゆるく,集団内の各個体はさまざまな構成をもったサブ・グループをつくり離合集散を繰り返している。単位集団の核となっているのは雌どうしのゆるいボンド(結合のきずな)であるらしい。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クモザル」の意味・わかりやすい解説

クモザル
くもざる / 蜘蛛猿
spider monkey

哺乳(ほにゅう)綱霊長目オマキザル科クモザル属に含まれる動物の総称。この属Atelesの仲間は、ほっそりした体、細長い四肢、把握力の強い長い尾をもつ。四肢と尾で枝にぶら下がった姿がクモのようにみえるのがその名の由来である。四肢と尾を用いてきわめて巧みに枝渡りをする。二足歩行も巧みである。手の親指は退化している。オマキザル科のなかでは大形で、体重11キログラムのものが知られている。頭胴長約60センチメートル、尾長80~90センチメートル。メキシコ南部、中央アメリカからアマゾン流域のほぼ全体、さらにアンデス東麓(とうろく)にわたって広範に分布している。クモザル属の分類はまだ定着していない。普通はクロクモザルA. paniscus、ケナガクモザルA. belzebuth、チャアタマクモザルA. fuscicepus、チュウベイクモザルA. geoffroyiの4種に分けるが、これらを1種にまとめるべきだとの意見もある。果実主食とする。20~30頭、ときにはそれ以上の個体が一つの社会単位をつくっているが、この単位は通常はいくつもの小さな集団に分かれている。単位集団間を雌だけが移動する父系の構造をもつことが明らかにされている。単位集団の行動域は広く、4~5平方キロメートルにも及ぶ。

[西邨顕達]


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百科事典マイペディア 「クモザル」の意味・わかりやすい解説

クモザル

霊長目オマキザル科クモザル属の新世界ザルの総称。体長60cm前後,尾は体よりも長い。メキシコ〜南米森林に小群ですむ。自由に動く長い尾を第5の肢のように使って,樹上を敏捷(びんしよう)に動き回り,ほとんど地上に降りない。果実と木の葉を食べる。クロクモザル,ケナガクモザル,ブラウンクモザル,アカクモザルの4種が区別される。性質は温和でよくなれる。
→関連項目サル(猿)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クモザル」の意味・わかりやすい解説

クモザル
Ateles; spider-monkey

霊長目オマキザル科クモザル属のサルの総称。体長 35~66cm,尾長 60~92cm。尾が長く,これで物につかまったり,つまみ上げたりすることができ,また樹間を移動するとき第3の手として用いられる。前肢後肢よりも長く,手の親指を欠く。クロクモザルチュウベイクモザルなど数種が知られている。メキシコ,ボリビア,ブラジルの熱帯雨林に分布する。

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