クラレ(読み)くられ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クラレ」の意味・わかりやすい解説

クラレ(株)
くられ

ビニロンの開発で有名な繊維会社、総合化学会社的色彩を強めている。1926年(大正15)倉敷紡績の子会社倉敷絹織(けんしょく)として、人絹生産を目的に設立された。1935年(昭和10)以来ポリビニル・アルコール系繊維の開発研究を続け、第二次世界大戦後の48年(昭和23)倉敷の試験工場でビニロンの生産を開始。1950年には原料ポバールからビニロン繊維までの一貫生産体制を確立した。この間、1943年には倉敷航空化工、45年には倉敷絹織、49年には倉敷レイヨンと改称。1958年以降ビニロン技術を中心に、先進国向け技術輸出や中国向けプラント輸出を積極的に展開した。1960年代以降ポリエステル繊維、人工皮革クラリーノ」、エチレン法酢酸ビニル、汎用(はんよう)合成ゴムのポリイソプレンなど事業を多角化し、70年には社名クラレとした。人工腎臓(じんぞう)など医療分野にも進出。ファインケミカルにも強い。資本金890億円(2008)、売上高4176億円(2008年。連結ベース)。倉敷など6工場をもつ。

[橘川武郎]

『『創新――クラレ80年の軌跡 1926―2006』(2006・クラレ)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クラレ」の意味・わかりやすい解説

クラレ

合成繊維メーカー。 1926年倉敷絹織として設立。 34年日本化学製糸,35年中国レーヨンを合併。 49年倉敷レイヨンと改称。 51年日本紡織,64年玉島レイヨンを合併,70年現社名に変更。 73年クラレクラベラ,74年クラレイソプレン,84年日本ベルクロ,87年クラフレックス,89年協和ガス化学工業の各社を合併。事業では 50年ポバール,ビニロンの操業開始,64年クラレエステルの操業を開始し,またビニロンプラントを中国に輸出した。 66年人工皮革「クラリーノ」生産開始。 69年ポリエステルフィラメント「クラベラ」生産開始。 70年イソプレンゴムの企業化に乗出した。近年,医療材料や精密化学品の分野の拡充目覚ましい。売上構成比は,繊維関連 32%,機能性樹脂など 27%,ファインケミカルなど 17%,人工皮革など 12%,その他 12%。年間売上高 3364億 6500万円 (連結。うち輸出 27%) ,資本金 805億 7000万円,従業員数 4621名 (1999) 。

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