〈キリスト教科学〉の意。《科学と健康》(1875)の著者エディMary Baker Eddy(1821-1910)によって1879年に創立されたキリスト教の信仰治療主義の一派。彼女によると精神のみが実在であって物質は幻想であり,病気は精神的な妄想である。それゆえ信仰によってその妄想を断ち切れば病気はいやされる。最初は新しい宗派をつくる気はなかったが,信者の増加とともに92年ボストンにマサチューセッツ州第1科学者キリスト教会を設立,これが〈母教会〉と呼ばれる本部となった。教会員数は20万~30万と推定されており多くはないが,出版刊行物による伝道に力を注ぎ,教会のほかに無料公開の読書室を設け自派出版物を置いている。出版物で有名なのは,国際的にも評価の高い日刊紙《クリスチャン・サイエンス・モニター》であり,他の宗教紙とは異なって世界的な視野をもっている。
執筆者:古屋 安雄
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アメリカの神癒(しんゆ)主義者の団体。1866年エディ夫人Mary Baker Eddy(1821―1910)によって創始された。彼女は、自分の病気が信仰によっていやされた経験から、信仰療法の奥義を悟ったとし、医療を行いつつ伝道して、その教えを『科学と健康――付聖書の鍵(かぎ)』Science and Health with Key to the Scripturesという書物にまとめて75年に出版した。神は唯一の生命で、真理であり、善であり、真の実在であり、またそれに対し、罪、病気、死などいっさいの悪は幻影にすぎず、信仰によってこの真理を悟るとき、いっさいの悪は消滅する、とした。79年ボストンに母教会Mother Churchが建てられた。年とともに各地に支部教会が建てられ、86年には全国的な組織が誕生した。今日、世界中に支部教会があり、1908年以来機関紙として日刊新聞『クリスチャン・サイエンス・モニター』The Christian Science Monitorを発行し、活発な活動を行っている。
[曽根暁彦]
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