日本大百科全書(ニッポニカ) 「クリスマス・レクチャー」の意味・わかりやすい解説
クリスマス・レクチャー
くりすますれくちゃー
Christmas Lectures
イギリスのロイヤル・インスティチューション(王立研究所)が、毎年クリスマスの時期にロンドンで開催する青少年向けの科学実験講座。世界的に研究実績が知られ、ユニークな講義内容などにも定評のある科学者が講師を務め、演劇のような舞台装置を使った実験やデモンストレーションを通じて、科学のおもしろさ、楽しさを子供たちに伝えるための催しである。教育の普及を目的として1825年に始められてから、第二次世界大戦中の4年間を除いて、現在まで継続されている。電気や磁気などの分野で多くの功績を残したイギリスの化学者ファラデーが一般に向けて講座を開設したのが始まりで、子供向けとしては世界初の科学講座といわれている。歴代の講師には「フレミングの法則」のフレミング、アメリカの天文学者で『コスモス』の著者であるセーガン、「利己的な遺伝子」で知られるドーキンスRichard Dawkins(1941― )などが名を連ねている。
日本でも1990年(平成2)から、イギリスの国際文化交流機関であるブリティッシュ・カウンシルと読売新聞社の主催で、王立研究所の協力を得て毎年夏休みの時期に「英国科学実験講座 クリスマス・レクチャー」が行われている。イギリスで前年に催された講座を、講師を務めた科学者を招いて再現するイベントで、その模様はNHKのEテレや衛星放送などを通じて全国に放送される。
[編集部]