クリスマスローズ(英語表記)Christmas rose
Helleborus niger L.

デジタル大辞泉 「クリスマスローズ」の意味・読み・例文・類語

クリスマス‐ローズ(Christmas rose)

キンポウゲ科多年草。高さ15~30センチ。葉は手のひら状の複葉で、根際から出る。冬から春、花弁状の紫色を帯びたがくをもつ花を開く。根を強心・利尿薬としたが、有毒。ヨーロッパの原産で、観賞用。 冬》

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精選版 日本国語大辞典 「クリスマスローズ」の意味・読み・例文・類語

クリスマス‐ローズ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] Christmas rose ) キンポウゲ科の多年草。ヨーロッパ原産で、鉢植え、花壇、切り花用に栽培される。葉は暗緑色掌状複葉で根生する。二~三月、高さ一五~三〇センチメートルの花茎を伸ばし、その先に径六センチメートルぐらいの花をつける。萼(がく)は花びら状で五個あり、白色でのちに紫色を帯びる。根を強心剤、利尿剤に用いる。ふゆぼたん。《 季語・冬 》

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改訂新版 世界大百科事典 「クリスマスローズ」の意味・わかりやすい解説

クリスマスローズ
Christmas rose
Helleborus niger L.

ヨーロッパ原産のキンポウゲ科の多年草。12~2月の冬季に開花をするのでこの名がある。冬咲きの草花として有名だが,日本で栽培の多いのは本種ではなく,同属で春咲きのレンテンローズH.orientalis Lam.(英名Lenten rose)や種間交配して作出された品種群であることが多い。いずれも草丈20~40cmの常緑多年草で,黒く短い根茎をもち,葉は根生する掌状複葉をつけ,全株無毛である。直径5~6cmの5枚の萼片が花弁状になった花を咲かせる。クリスマスローズは冬季に白色,のちに紫色をおびる花をつけ,レンテンローズやそれと関係のある雑種起源のものは早春から春に帯黄緑色や帯紫色あるいは紫色の斑点のある花を開く。早咲きのプラエコクス,大輪花のマクラントゥス,花茎の長いアルティフォリウスをはじめ,多くの園芸品種が育成されている。樹下などの排水,保湿のよい半陰地に適した宿根草で,秋または早春に植え付ける。繁殖株分け,または実生による。

 クリスマスローズ属Helleborus(英名bear's foot)は,ヨーロッパから西アジアにかけて10種あまりが分布し,中国大陸西部にも産する。種間雑種が容易で観賞用にされるだけでなく,民間薬としても栽培利用される。クリスマスローズは根にステロイド,ヘレブリンhellebrinなどを含み,強心作用があるという。
執筆者:

クリスマスローズはその黒い根に魔力があると信じられ,古代ギリシア時代には狂気をなおす霊薬の一つに数えられていた。また,頭を良くする薬として当時の劇作家や哲学者が服用したともいわれ,イギリスではこの根を取るための魔術的な方法が定められていた。それは,花のまわりに剣で円を描き,呪文(じゆもん)を唱えて引くというものである。また,引き抜いている姿をワシに見られると,採取者は死ぬともいわれた。《セルボーンの博物誌》には,イギリスの婦人が子どもの虫下しにこの葉の粉末を飲ませるとある。俗説によれば,アダムとイブが楽園を追われたとき,きたるべき罪の浄化の象徴として持ち出したのが,この花であったとされ,以来,この花を〈楽園の思い出〉の象徴とする美意識も生まれ,コールリジやH.G.ウェルズらがそれを文学化した。花言葉は〈私の不安を救いたまえ〉。
執筆者:


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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クリスマスローズ」の意味・わかりやすい解説

クリスマスローズ
くりすますろーず
Christmas rose
[学] Helleborus niger L.

キンポウゲ科(APG分類:キンポウゲ科)の常緑多年草。ヨーロッパの原産で明治の初めに渡来した。根茎は太く短い。葉は根生し、15~30センチメートル、掌状複葉で革質、暗緑色。小葉は7~9片で先端部に鋸歯(きょし)がある。花茎はよく分岐して1~3花をつける。花の大きさは径5~6センチメートルであるが、花弁は小さく、筒状で、雄しべより短く目だたない。萼(がく)の5片が大きく花弁状をなして美しく、咲き始めは白色で、のちに紫色を帯びる。根にはサポニンが含まれていて強心剤、利尿剤として用いられる。変種も多い。別種のオリエンタリス(ハルザキクリスマスローズ)H. orientalis Lam.は西南アジアの原産で、花茎が分岐して3~6花をつける。緑色または黄緑色で縁辺は紫色。花期は4、5月で、栽培されるものの多くは本種の系統が主体になる。寒さに強く、排水のよい半日陰地を好む。繁殖は11月ころの株分けが普通で、実生(みしょう)もできる。

[猪股正夫 2020年3月18日]


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知恵蔵 「クリスマスローズ」の解説

クリスマスローズ

キンポウゲ科の多年草。主として欧州からコーカサス中部、遠く離れて中国(四川、湖北、甘粛)に分布し、その数は15〜20種といわれる。常緑のものが多いが、一部は冬に葉が枯れる。植物学上の属名はヘレボルス(Helleborus)だが、英名のクリスマスローズの方がよく知られている。本来クリスマスローズと呼ばれるのはニガー(H.niger)という種で、アルプス中西部とアペニン北部の山地に分布し、12〜2月頃に白い花を咲かせる。東欧から西南アジアに分布するオリエンタリス(H.orientalis)をクリスマスローズと呼ぶことが多い(英国ではレンテンローズと呼ぶ)。栽培の対象は主としてオリエンタリスの交雑群で、英国やドイツで流行し、日本でも愛好家が増えつつある。

(森和男 東アジア野生植物研究会主宰 / 2007年)

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百科事典マイペディア 「クリスマスローズ」の意味・わかりやすい解説

クリスマスローズ

ヨーロッパ原産のキンポウゲ科の常緑多年草で,暖地ではクリスマスの頃から開花するのでこの名がある。掌状に深裂した葉を根生し,早春,15〜30cmにのびた花茎に径5〜6cmの花を1〜2輪つける。白または紫を帯びた5枚の花弁状の萼の中央に,多数のおしべとそのまわりに緑色を帯びた筒形の短い花弁がある。ただし,日本でこの名前で栽培されるのは,南欧・中央アジア原産の近似種レンテンローズ(春咲クリスマスローズ)の園芸品種であることが多い。本来のクリスマスローズより大型で,花数も多く,花の直下にある包葉も大きい。花色は黄緑,白,桃,濃紫,黒紫など変化に富んでいる。ともに栽培は肥えた半日陰がよく,花壇,鉢植,切花に用いられる。秋の株分け,実生(みしょう)でふやす。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クリスマスローズ」の意味・わかりやすい解説

クリスマスローズ
Helleborus niger; Christmas rose

キンポウゲ科の多年草。ヨーロッパ原産。切り花用に栽培され,また花壇にも植えられる。 12月~2月に,直径約 6cmの緑白色花弁状の5萼片の花をつける。

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世界大百科事典(旧版)内のクリスマスローズの言及

【有毒植物】より

…しかし用量安全域がせまく,副作用として食欲不振,悪心,嘔吐をさそい,多量に使用すれば心臓停止による死を招く。キンポウゲ科のフクジュソウ,クリスマスローズ,キョウチクトウ科のキョウチクトウ,ストロファンツス,ユリ科のオモト,カイソウ,スズランなどにも同様の成分が存在する。ストロファンツスはアフリカの原住民によって,矢毒として利用されていた。…

※「クリスマスローズ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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