クリティカル・シンキングは,批判的思考と訳されている。クリティカル・シンキングは規準に基づく論理的,合理的でバイアスのない思考である。「相手を批判する思考」という意味よりも,むしろ自分の推論過程に意識的に吟味する反省的思考reflective thinkingである。これは思考の二重過程モデルdual process modelにおいて,無意識的で直観的な思考におけるバイアスや誤謬を,意識的で熟慮的な思考によって修正する思考として位置づけることができる。クリティカル・シンキングは,高次リテラシー(メディアリテラシー,科学リテラシーなど)の基盤であり,人の話を聞く,メディアの情報を受け取る,文章を読む,議論をする,自分の考えを述べる,問題を解決する,意思決定をするときに,より良く考えるためのものである。すなわち,クリティカル・シンキングは,目標志向的思考であり,目標や文脈に応じて実行されることが重要である。クリティカル・シンキングは,認知的側面(スキル・知識)と態度的側面に分けることができる。