夏から秋までの長い期間にわたって咲く熱帯アメリカ原産のフウチョウソウ科の一年草。和名はセイヨウフウチョウソウ。高さ約1m,まばらに分枝して,5~7枚に切れこんだ掌状複葉をつけ,葉柄の基部にはとげがあり,株全体に粘毛がある。花は花弁4枚で,無限花序につき,おしべは4本で長い。夕刻に咲き2日目にしぼむが,すぐに約10cmの細長い果実をつけて熟せば果皮が二つに裂けて種子が飛散する。
在来種は花色が紫紅色または白色であるが,改良種には開花初日にはピンク,次の日には白くなり花穂全体が2色に見えるピンク・クイーンPink Queenがある。ホワイト・クイーンWhite Queenは2日とも白色である。移植を嫌うので,種子は4月に直まきでばらまきとし適宜に間引きして育てる。こぼれ種でも次年の春に発芽して育つ。水揚げは不良で切花には不適。大きな花壇に集団として植えると見ばえがする。
執筆者:浅山 英一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
フウチョウソウ科(APG分類:フウチョウソウ科)フウチョウソウ属の総称。熱帯から亜熱帯に150種ほど知られ、沖縄にはヒメフウチョウソウC. viscosa L.が分布する。一般に栽培されるのはセイヨウフウチョウソウ(西洋風蝶草)Tarenaya hassleriana (Chodat) Iltis(Cleome spinosa L.)で熱帯アメリカ原産の一年草。茎は単生または2、3本立ちで高さ約1メートル。葉は4~7枚の小葉からなる掌状複葉で、基部に刺(とげ)がある。6~9月、茎頂に総状に多数の花をつける。花弁は4枚で下半分は細く線状となり、花色は淡桃、紫桃、白色。雄しべは花色と同色で、5~7.5センチメートル、花外に長く突き出るのが特徴である。雌しべは1本で、花期後に15センチメートルほどの細長い莢(さや)となり、長柄をつけて四方に広がり、花とともに観賞される。4~5月に播種(はしゅ)するが、土質を選ばず、きわめてじょうぶで、翌年にこぼれ種からでも成長する。
[山口美智子 2020年11月13日]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
「セイヨウフウチョウソウ(西洋風蝶草)」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…アブラナ科と同じように辛みを生ずるミロシン細胞を有しているものがあり,系統的にも近縁と考えられている。クレオメのように観賞用に栽植されるものや,食用にされる種がある。【堀田 満】。…
※「クレオメ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新