グティエレスナヘラ(その他表記)Manuel Gutiérrez Nájera

改訂新版 世界大百科事典 「グティエレスナヘラ」の意味・わかりやすい解説

グティエレス・ナヘラ
Manuel Gutiérrez Nájera
生没年:1859-95

メキシコ詩人キューバホセ・マルティとならぶ,モデルニスモ詩の代表者当初中編小説《はかない物語》(1882)を発表して散文作家として出発したが,その後ミュッセ,ゴーティエ,ベルレーヌなどの影響を受けたモデルニスモ詩を,みずから1894年発刊した雑誌《青》に発表し続けた。同誌は,ラテン・アメリカのモデルニスモ詩運動を語るさい,看過できない重要な刊行物である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グティエレスナヘラ」の意味・わかりやすい解説

グティエレス・ナヘラ
ぐてぃえれすなへら
Manuel Gutiérrez Nájera
(1859―1895)

メキシコの詩人、小説家。メキシコ市の富裕な家庭に生まれ、学校には行かず家庭教師について教育を受け、神秘主義者たちの著作を読んで育つ。16歳のときラファエルという筆名で新聞に投稿後はジャーナリズムに入り、数多くの筆名(とくに名高いのは「ヨブ公爵」)を用いて文学界で活躍。メキシコ近代主義(モデルニスモ)の先駆者であり、1894年に自ら創刊した『アスル』誌で多くの近代主義詩人・作家たちを育てる。幻想ユーモアにあふれるイメージ豊かな短編集『はかない物語』(1883)や、ロマン主義の香りを残す『頌歌(しょうか)』『悲しい夜(トリースティシマ・ノクス)』『心の平和(パクス・アニマエ)』など数多くの詩を残したが、死後詩集』(1896)としてまとめられた。

[安藤哲行]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グティエレスナヘラ」の意味・わかりやすい解説

グティエレス・ナヘラ
Gutiérrez Nájera, Manuel

[生]1859.12.22. メキシコシティー
[没]1895.2.3. メキシコシティー
メキシコの詩人。メキシコにおける世紀末「近代派」の中心的存在で,1894年にその機関誌ともいえる『青』 Revista azulを創刊。ヨブ侯爵のペンネームで,ボヘミアン生活の苦悩哀愁を,色彩感に富む新鮮な言語で,短編や詩に綴った。主著『詩集』 Obras de M. Gutiérrez Nájera (1896) ,『煙の色の短編集』 Cuentos color de humo (94) ほか。

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世界大百科事典(旧版)内のグティエレスナヘラの言及

【モデルニスモ】より

…ラテン・アメリカは19世紀初頭にスペインから政治的に独立したものの,文化面ではその後も旧宗主国の影響を受けていた。しかし,独立後数十年たった1880年代になると,スペインの文化的影響から脱却するためのモデルニスモの運動がキューバのJ.マルティ,メキシコのM.グティエレス・ナヘラらによって展開され,それがラテン・アメリカ全体に広がった。彼らはゲベード,ゴンゴラらのスペイン古典詩はもちろんのこと,フランスの象徴派・高踏派,さらには中国やインドの文化の影響を受け,斬新で華麗な文体と音楽的リズム感をもった言語とを詩の分野に導入して美的・芸術的世界を謳歌し,新古典主義の硬直性とロマン主義の感傷性を打破することに成功した。…

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