グローブズ(英語表記)Groves, Leslie Richard

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グローブズ」の意味・わかりやすい解説

グローブズ
Groves, Leslie Richard

[生]1896.8.17. ニューヨークオールバニ
[没]1970.7.13. ワシントンD.C.
アメリカ合衆国の軍人原子爆弾製造計画「マンハッタン計画」を管理したマンハッタン管区 MEDの最高責任者。従軍牧師を父にもち,アメリカ各地の駐屯地で育った。シアトルのワシントン大学に 1年,マサチューセッツ工科大学に 2年通ったあと,1916年7月,ニューヨーク州にあるウェストポイント陸軍士官学校に入学。第1次世界大戦停戦の 10日前となる,1918年11月1日に卒業。陸軍工兵隊に選ばれ,20年間,アメリカ各地で技師として職務にあたりながら,陸軍指揮幕僚大学や陸軍戦略大学で,軍最高司令部幹部となる訓練を終えた。第2次世界大戦中の 1940~42年には,キャンプ施設,弾薬工場,飛行場,倉庫,国防省を含むアメリカすべての軍施設建設を監督。1942年,陸軍工兵隊がマンハッタン計画を管轄することになると,その最高責任者に選ばれた。その後の 3年間,原子爆弾の開発のための調査研究,製作,情報管理などすべての面を監督。原子爆弾製造のため,ウランプルトニウムを高濃縮するための工場建設から,国内外で諜報活動監視など役割は多岐にわたった。特に原子爆弾用に特別に開発されたボーイングB-29を扱う空軍隊の編成を行ない,1945年の広島と長崎への原子爆弾投下について,標的や時期の選定といった計画立案の中心を担った。1946年,原子力法に基いて創設されたアメリカ原子力委員会に MEDを引き継ぎ,1948年に退役著書に,マンハッタン計画指揮の経験について執筆した『私が原爆計画を指揮した――マンハッタン計画の内幕』Now It Can Be Told(1962)。

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