ドイツの文学史家。本名は,F.Leopold Gundelfinger。当時のドイツ文学の自然主義的傾向や,社会の実証主義的風潮に抗して,純粋な言語芸術としての文学を標榜したゲオルゲ派に属した。1920年にハイデルベルク大学の文学史の教授となり,ゲオルゲ派の歴史・芸術理論に基づく精神史的労作を次々に発表した。これらの研究はいずれも繊細にして壮大な叙述であるが,実証をこえ,〈芸術のための芸術l'art pour l'art〉としての〈解釈〉に属する。彼の見解では,芸術家の生と作品とは一体をなすものであり,こうした超歴史的な〈象徴的形姿〉として理解さるべき大芸術家に則して,芸術上の客観的判断の試金石がえられるという。これは美的絶対化,さらに個人の神話化の傾向につながる。しかし,当時として斬新な問題設定は,しばらくの間ドイツ文芸学に与えた影響は大きい。《シェークスピアとドイツ精神》(1911),《ゲーテ》(1916),《ゲオルゲ》(1920),《ロマン派詩人》(1930)などの著作がある。
執筆者:河原 忠彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ドイツ(ユダヤ系)の文学史家、詩人。本名はF. Gundelfinger。ダルムシュタットに生まれる。ミュンヘン、ハイデルベルク、ベルリンなどの大学で文学、哲学、歴史などを専攻。1899年から『芸術草紙』の同人。1920年からハイデルベルク大学教授。ゲオルゲ・クライス(シュテファン・ゲオルゲを中心に集結したグループ)の逸材中ひときわ優れた才能と情感の持ち主で、ゲオルゲの愛弟子(まなでし)であったが、26年に師と決別。偉大な芸術家をその時代を象徴する姿として把握する、いわゆる生の「記念碑的歴史」の範例としての伝記の叙述に彼の精神史的業績は集約される。『シェークスピアとドイツ精神』(1911)、『ゲーテ』(1916)、『ゲオルゲ』(1920)、『ロマン主義者たち』2巻(1930~31)が主要著作。自作の『詩集』(1930)、また『精神活動のための年鑑』(1910~12)を編集した。美しくきらめくドイツ語を駆使した文体は魅力にあふれているが、自己陶酔の危惧(きぐ)もはらんでいる。『ドイツ語訳シェークスピア全集』6巻(1908~14)は注目される。1958年、ロンドン大学ドイツ文化研究所にグンドルフ文庫が設立された。
[林 秀之]
『小口優訳『若きゲーテ』『古典期のゲーテ』『晩年のゲーテ』(1970~71・未来社)』
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