試金石(読み)シキンセキ

デジタル大辞泉の解説

しきん‐せき【試金石】

金など貴金属の鑑定に用いられる黒色の硬い石。表面に金をこすりつけ、その条痕(じょうこん)色を標準品のものと比較して純度を判定する。金(かね)付け石。
物の価値や人の力量などを計る基準となる物事。「政府の行政能力を問う試金石

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

岩石学辞典の解説

試金石

(1) 黒色緻密な石英質の岩石で,金合金の条痕を付け,その色合いによって金合金の純度を調べた.主として潜晶質のシリカやカルセドニイが存在し,放散虫の遺骸が含まれている.最初は小アジアのリディア(Lydia)の地方で記述された[Theophrastus : 320 B. C. , Tarr : 1939-1938,片山ほか : 1970].リディエンネ(lydienne)[D'Aubuisson de Voison : 1819].(2) 極端に細粒の岩石で潜晶質の石英とカルセドニイからなっている.チャート状のの中に産出し珪化した頁岩,石灰岩,凝灰岩を示している.色は灰色褐色,黒色,緑色で,少量の炭質物,水酸化鉄または緑泥石を含む.古くからその条痕で金や銀の純度を調べるのに用いられた[Arkell & Tomkeieff : 1953].⇒バサン岩(4.14.23)

試金石

チャート

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

試金石
しきんせき

熊野(くまの)地方に産し、俗に那智黒とよばれる塊状で緻密(ちみつ)な黒色頁岩(けつがん)。表面を平滑に加工してある。金製品をその表面にこすりつけたときの色や、硝酸による処理(銀分を溶かし去ったものと未処理のものと色を比較する)結果からその金品位を推定するのでこの名がある。良質のものは碁石として利用される。この産地の頁岩は通常のものに比べて粘土鉱物が少なく、黒色の原因である炭質物の分布が均一であるうえに、長石や石英の微粒が多いため、上滑りせずに金の条痕(じょうこん)がうまくとれるという。

[加藤 昭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

しきん‐せき【試金石】

〘名〙
① 石英質で黒色の緻密(ちみつ)な粘板岩。この石に金属をこすりつけ、その条痕(じょうこん)色をみてその金属の純度、品位などを判定する。
※無刊記刊本碧巖鈔(1620‐40頃)三「金将━試金石と云て、黒うまつ団るな石が在也」
② 物事の価値や、人物の力量などをみきわめるために試みる物事。試験石。
※美術の翫賞(1895)〈上田敏〉「これ評家が真正に美を愛する人なりや否やを決する試金石にして」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典内の試金石の言及

【試金】より

…銀は硝酸に溶解し,金は溶けずに残るので,残った金を秤量(ひようりよう)し,最初の重量と比較して金銀の含有量を求めることができる。 以上のほか,試金石touchstoneも古代から利用された。試金石には黒色で緻密(ちみつ)な玄武岩やチャートが用いられ,それに試料をこすりつけて,その条痕色と標準品の条痕色とを比較して金の純度を知るのである。…

※「試金石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報