老人福祉法における老人ホームの一種で、軽費老人ホームの一類型の名称。社会福祉法人や地方自治体、民間事業者などによって運営される福祉施設である。軽費老人ホームC型ともよばれている。1989年(平成1)に制度が創設された。原則として、身体機能に低下が認められる60歳以上の者で、独立した生活に不安があり、家族の援助を受けることが困難な場合に、自治体の助成を受けて低料金で入居できる。共同生活が前提となるため、認知症などの場合は入居ができないこともある。また、ケアハウスのなかには、自治体の特定施設入居者生活介護の認定を受けた特定施設があり、これと一般型のケアハウスを区別するため、特定施設型または介護型とよぶ。特定施設型の場合、65歳以上で要介護1から5までに認定された者が入居でき、人員配置は一般の介護福祉施設と同等の基準で運営されている。特定施設以外の施設に入居しても、入居後に介護が必要になった場合には、居宅介護支援業者と契約し、個人の在宅介護と同様の訪問介護を受けることができる。
2010年(平成22)には軽費老人ホームの設備と人員配置の基準に特例が設けられ、都市型軽費老人ホームが創設された。これは首都圏、近畿圏、中部圏の一定区域で、地方のケアハウスと同等程度の低額な利用料を設定し、低所得高齢者に配慮した小規模のホームを設けることができるようにした制度である。これにより、従来のケアハウスにおける一人当りの居室面積21.6平方メートルは、最低7.43平方メートルまで縮小できるように改められた。利用定員も従来の20人以上を、5人から20人までに緩和している。2012年からは、都市型軽費老人ホームの施設整備に必要な開設準備経費を補助する交付金が、推進対策として設けられた。
ケアハウスの施設は、高齢者が車椅子(いす)の生活になっても自立した生活ができるようにバリアフリー化されており、浴室やトイレ、食堂やリビングルームなどは共同設備で、居室は原則として個室か、準個室である。一部の施設では夫婦用の二人部屋がある。ケアハウスで提供することのできるサービスは、食事、掃除、洗濯などの日常的な生活援助が基本で、特定施設型では入浴や食事の介護をはじめ、機能訓練や医療ケアなどのサービスを提供することができる。費用は入居時に保証金などとして数万円から十数万円(一般型の場合)の初期費用が必要となるが、月額利用料は自治体より補助されるため、8万円から14万円程度に抑えられる。
2012年10月における軽費老人ホームについて、自治体に把握されている施設数は全国2182施設であり、そのうちの9割近くをケアハウスが占める。全体の定員は9万1474人で利用率93.4%、年収250万円以下の入居者が約9割を占めている。入居者の半数以上は要介護者などで、認知症高齢者の入所割合は2割以上である。
[編集部]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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