( 1 )「万葉集」に「こそ」の結びとして「けらしき」の形があるほかは、語形変化の例がなく、すべて文終止に用いられている。
( 2 )「けり」の場合は、気づいた事態や筋道は目の前に存在したり、ありありと意識されたりすることを表わすが、「けらし」の場合、それらは、直接には確かめることができないので、存在する可能性が述べられるに止まっている。
( 3 )②の用法は平安時代以降は、あまり見られなくなる。また、③の用法は、近世になって多くなるが、平安時代からすでにあったらしく、藤原清輔の『和歌初学抄』に「けり」の意味だとされている。