ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゲレス」の意味・わかりやすい解説
ゲレス
Görres, (Johann) Joseph von
[没]1848.1.29. ミュンヘン
ドイツの学者,思想家。 19世紀前半のドイツ・カトリックの精神的指導者。 1806年からハイデルベルク大学に移り,アルニム,ブレンターノらのロマン派作家とともに『隠遁者のための新聞』 Einsiedlerzeitungを刊行し,中世詩の研究『ドイツ通俗本』 Die teutschen Volksbücherを著わした。 08年には生地コブレンツに帰りペルシア語を研究して,10年『アジア世界の神話史』 Mythengeschichte der asiatischen Welt (2巻) を著わした。 13年ナポレオンの衰退とともに高まったドイツ民族主義風潮の先頭に立ち,14年2月には『ライニッシャー・メルクール』 Rheinischer Merkurを発刊,その革新的精神はプロシア政府による発行禁止を招き,19年『ドイツと革命』 Teutschland und die Revolutionにより逮捕状を発せられて,ストラスブール,次いでスイスに亡命した。その後,政治的幻滅を感じ,カトリックに帰依,ウルトラモンタニスムスと神秘主義を唱え,27年バイエルン王ルートウィヒ1世に招かれてミュンヘン大学教授となった。晩年の著作に『アタナシウス』『キリスト教神秘主義』 Die christliche Mystik (4巻) がある。
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