ウルトラモンタニズム(読み)うるとらもんたにずむ(英語表記)ultramontanism

翻訳|ultramontanism

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウルトラモンタニズム」の意味・わかりやすい解説

ウルトラモンタニズム
うるとらもんたにずむ
ultramontanism

国家に対する教会の独立を擁護し、ひいては公共生活の諸領域で教皇と教会の影響力の伸長を目ざした近代カトリックの運動。中部ヨーロッパからみて「山のかなた」ultra montesにあるローマ(教皇)の利害を代弁するところから、この名が由来する。起源は、革命直後のフランスでカトリック教会をも国家の一制度にしようとしたナポレオン1世の企図に反対したシャトーブリアン、ド・メーストルらの思想にある。この傾向はベルギー、ドイツなどの諸国にも波及し、社会的領域のみならず、文芸や思想をも含めたカトリック信仰興隆をもたらしたが、プロテスタンティズムや近代的自由主義の側からは、信仰の自由を侵すものとして批判された。教会内での司教への分権的傾向に対し、教皇の支配的地位を確立した第1回バチカン公会議(1870)は、その顕著な成果の一つといえる。

[田丸徳善]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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