日本大百科全書(ニッポニカ) 「コロダイ」の意味・わかりやすい解説
コロダイ
ころだい / 胡盧鯛
trout sweetlips
painted sweetlips
[学] Diagramma pictum
硬骨魚綱スズキ目イサキ科に属する海水魚。新潟県以南の日本海沿岸、茨城県以南の太平洋沿岸、屋久島(やくしま)、琉球(りゅうきゅう)列島、台湾、南シナ海、タイランド湾、西太平洋、インド洋に分布する。体は楕円(だえん)形で、側扁(そくへん)する。目の下縁は吻端(ふんたん)よりも上方にある。口は小さく、口唇は厚い。下顎(かがく)の腹面中央部に溝がない。上下両顎には狭い絨毛(じゅうもう)状歯帯がある。鱗(うろこ)は小さくて、側線上に69~72枚ある。背びれは9~10棘(きょく)22~23軟条。幼魚の尾びれの後縁は丸いが、成長とともにやや湾入形になる。最大全長は60センチメートルを超える。幼魚の体には黄白色の地に、2条の幅が広い灰黒色縦帯がある。第1帯は吻端から頭部外郭に平行して上昇し、背びれの前方で水平になり背びれの後端近くに、第2帯は吻端から目を横切って尾びれの下葉に向かって走る。胸びれを除くすべてのひれに黒い帯がある。成長するにつれて、体の黒色帯は褐色になり、その間に細かな線が現れ、十数列の黄褐色の斑点(はんてん)の列になり、体全体に散在するようになる。成魚は沿岸の浅い岩礁の砂泥底域、サンゴ礁域、内湾などに生息する。産卵の盛期は沖縄島では6~8月。一本釣り、定置網、刺網(さしあみ)などで漁獲される。重要な食用魚であり、美味で、刺身、塩焼き、煮つけなどに利用される。幼魚は飼育観賞魚として人気がある。コロダイは背びれ棘が10本以下であることで、コショウダイ類と区別できる。
[赤崎正人・尼岡邦夫 2017年4月18日]