日本大百科全書(ニッポニカ) 「コルクノーフ」の意味・わかりやすい解説
コルクノーフ
こるくのーふ
Николай Михайлович Коркунов/Nikolay Mihaylovich Korkunov
(1853―1904)
革命前ロシアの法学者。ペテルブルグ大学教授。国際法に始まり、法の一般理論、国法学へと研究を広げた。イェーリング以来の利益法学の影響のもとで、政治・法現象を人々の集団的な心理的=精神的活動の所産として観察する、心理学的・社会学的な実証主義の立場にたち、法を、利益実現の枠を設定する倫理規範の変種とみて、秩序心理に基づく利益調整の役割を強調し、また国家を、市民たちの国家への従属意識から生ずる権力とみなした。
革命後は長く顧みられなかったが、近年ではツァーリ専制に対しては批判的な態度をとりつつも、上からの改革をまつにとどまった自由主義派として、より客観的な評価を与えられている。主著に『法の一般理論講義』(1886)、『ロシア国法』2巻(1892~1894)などがある。
[大江泰一郎]