山川 世界史小辞典 改訂新版 「コロナトゥス」の解説
コロナトゥス
colonatus
ローマ帝国末期の農地に縛られた小作人(コロヌス)の身分,地位,ひいては彼らによる生産構造をさす。ローマ帝政期になると従来の奴隷制農業はしだいに自由な小作制にきりかえられたが,小作人は地主への隷属をしだいに増していった。従来,奴隷制の発達しなかったエジプトや小アジアでは,一層隷属度の強い小作人がいた。ディオクレティアヌス帝は徴税の便宜のために,これらの小作人が納税のために登録した農地から離れることを禁じたので,彼らの束縛は法制化され,以後しだいに完成されて中世農奴制の先駆となった。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報