コンピュータ・リテラシー(読み)こんぴゅーたりてらしー(その他表記)Computer literacy

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

コンピュータ・リテラシー
こんぴゅーたりてらしー
Computer literacy

本来リテラシーとは識字能力のことをいう。現代の文明社会では、識字能力なしに生きていくことはできない。それと同様に、コンピュータを利用する基礎能力なしに、少なくとも今後の文明社会に参画することは困難であるということから、コンピュータ利用能力としてのコンピュータ・リテラシーの重要性が唱えられるようになった。しかし、その考え方は時代とともに変化している。かつては、FORTRANフォートラン)などプログラム言語を知ってプログラムできることとか、2進法を知っていることとかがコンピュータ・リテラシーとみなされたこともあったが、現在では、GUI(Graphical User Interface)などヒューマン・インターフェース技術の進展により、コンピュータははるかに使いやすいものとなったため、異なる能力が問われるようになった。すなわち、容易に手に入る膨大な情報をどのように使いこなせるかという、情報の活用能力さらにはその編集能力などが重要となってきている。これを情報リテラシーともいう。たとえば、インターネットWWWWorld Wide Web)を用いて、どのようにして欲しい情報を手に入れることができるか、入手した情報が信頼できるものかどうかをどのように判定するのか、与えられた問題を解くとはどういうことなのか、そもそも問題設定自体はどうすればよいのか、といった(単にコンピュータの操作能力ではなく)情報内容自体を活用するためのより本質的な能力が問われている。

[田村浩一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

コンピュータリテラシー
computer literacy

コンピュータを使いこなすための基本的な知識や技能個人が身につけること。具体的には,パーソナル・コンピュータソフトウェアインターネットを使いこなし,必要な情報の収集蓄積,加工,表現,伝達ができるようになることをさす。リテラシーとはそもそも文字の読み書き能力のことをいい,社会生活を営むための基本的な能力のことであるが,20世紀末におけるコンピュータの普及以降,コンピュータによる作業のための知識や技能が必要となった。日本の教育現場では,小学校からコンピュータに触れ,慣れ,親しませる学習が推進され,中学校では技術・家庭科に「情報基礎」が導入されている。高等学校や大学でも勉学・研究の基礎としてのコンピュータリテラシーが教えられている。しかし,ネットワークなどの情報環境は時とともに大きく変化しており,社会生活に必要なリテラシーも拡大するなか,市民ひとりひとりが十分なコンピュータリテラシーを身につけることは難しい。個人におけるコンピュータリテラシーの差が実生活での新たな格差となるデジタル・デバイドなどの問題も生じている。インターネット,携帯電話などから個人に流れ込んでくる情報は,量と質ともにそれまでの情報とは異なるレベルであり,その情報を判断し処理するには情報の本質をよく理解することが必要である。

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