中学校の教育課程に位置づけられた教科の一種。技術分野、家庭分野からなる。1951年(昭和26)の学習指導要領では職業・家庭科と称し、1958年告示の学習指導要領で技術・家庭科に改められた。1980年までは、技術分野は男子向き、家庭分野は女子向きと明示されたカリキュラムのもとで教育が行われた。一部内容の男女相互乗入れの期間を経て、1989年(平成1)告示の学習指導要領(1993年から実施)以降、男女同一の履修となった。
学習指導要領では、生活や技術に関する実践的・体験的な活動を学習手段とし、よりよい生活の実現や持続可能な社会の構築に向けて、生活をくふうし創造する資質・能力の育成を目ざす一教科の扱いであるが、表記には、「技術」と「家庭」を区分する「・」(中黒(なかぐろ)、中点(なかてん))が入る。分野固有の学習内容があり、各分野を担当するためには、「技術」と「家庭」それぞれの中学校教諭免許状が必要である。普通教育として、技術分野は、おもに小学校図画工作科や高等学校情報科の一部に関連しており、家庭分野は、小学校家庭科、高等学校家庭科との明確な系統性を有している。
技術分野は、「A材料と加工の技術」「B生物育成の技術」「Cエネルギー変換の技術」「D情報の技術」の内容からなる。ものづくりなどの実習や観察・実験、調査などを通して、技術と生活や社会、環境とのかかわりについて理解を深め、それらにかかる技能を身につける。また、技術にかかわる問題や他への影響を比較・判断するなどして技術にかかわる課題解決を行い、よりよい生活の実現や持続可能な社会の構築に向けて、適切かつ誠実に技術をくふうし創造しようとする実践的な態度の育成を図っている。
家庭分野は、「A家族・家庭生活」「B衣食住の生活」「C消費生活・環境」の内容からなる。調理、製作などの実習や観察、調査、実験などを通して、家族・家庭の機能や生活の自立に必要な事項の理解を深め、それらにかかる技能を身につける。また、家族・家庭や地域における生活のなかから問題を発見して、解決策を構想、実践、評価・改善して課題解決を行い、自分と家族、家庭生活と地域とのかかわりを考え、家族や地域の人々と協働し、よりよい生活の実現に向け、生活をくふうし創造しようとする実践的な態度の育成を図っている。
[貴志倫子 2024年9月17日]『産業教育研究連盟編『技術・家庭科ものづくり大全――その教育理念と授業実践』(2021・合同出版)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…戦後は,新憲法,教育基本法の下で,〈日常生活に必要な衣・食・住・産業等について,基礎的な理解と技能を養うこと〉(学校教育法18条3項)という教育の目標規定の一つに対応した教科として出発した。現在では,小学校5・6年に週2時間の〈家庭科〉があり,中学校では〈技術・家庭科〉の11領域のうち5領域が該当し,高等学校では,普通教育科目として〈家庭一般〉〈生活技術〉〈生活一般〉のいずれかを必修とする〈家庭科〉のほかに,職業専門科目として〈保育〉〈被服〉〈食物〉などからなる職業専門教育が行われている。 家庭科は,戦後の教育課程の中でももっとも不安定な教科である。…
…日本では,企業への帰属意識を強化するねらいをこめて企業内教育・訓練を重視する傾向が強い。
[技術・家庭科]
日本の普通教育としての技術教育は,明治以来小学校では手工科で,中学校では1936年以来作業科で行われてきた。今日では,小学校の図画工作科,中学校の技術・家庭科で行われている。…
…1941年の国民学校令では,国防強化,軍事産業重視の立場から近代技術につながる内容を強化し,〈工作〉と改称,芸能科の一科目とされた。第2次大戦後の小学校では,図画(美術)教育と統合して図画工作科のなかで扱われ,中学校では,職業科,職業・家庭科を経て,58年,技術・家庭科が設けられ,そのなかで一般教育としての技術教育が行われるようになった。小学校の工作が,これと一貫性をもたないとの見方から,図画から分離した独立の教科にすべきであるとの主張も強い。…
※「技術家庭科」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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