Gosudarstvennyi Bankの略称。ソ連の中央銀行。本店はモスクワ。1917年の革命後,ネップの時代になり,21年10月ゴスバンクが設立された。ソ連閣僚会議に直属し,計画経済における資金の面の監督者としての責任をもつ。発券機能をもち,ゴスプランが作成し閣僚会議が承認した国民経済計画に基づく現金計画に従って通貨の供給を行うが,同時に唯一の商業銀行として,全国の経済機関,企業のための決済,信用供与も行う。ソ連国内に4000以上の支店,代理店をもち,30万人以上の従業員を有する。取引先の企業,機関,コルホーズの数は合計60万にのぼる。現在のおもな業務は,(1)預金業務,(2)短期貸付け(貸付計画に基づいて国営企業,協同組合,コルホーズに対して行われる),(3)長期貸付け,(4)非現金決裁(取引企業・機関相互の商品・サービスの代金決裁),(5)通貨の発行・流通量の計画・調節,(6)すべての国家機関,国営・協同組合企業の金銭出納,(7)外国貿易銀行を通じた外為業務の独占およびルーブル為替相場の決定,である。ゴスバンクのバランス・シートは公表されていない。ただし融資活動については,定款で定められた15億ルーブルの自己資本,利益金の50%を算入した準備金,企業・機関からの預金,大衆個人預金等を資金として,ゴスプラン立案の国民経済計画に基づき作成される総合貸付計画に基づいて行われる。1990年11月の法律により構成共和国中央銀行とともに中央銀行体系に移行(その他の銀行は商業銀行に移行)したが,連邦解体後の中央銀行機能は,ロシアでは〈ロシア中央銀行〉に引き継がれた。
執筆者:結城 隆
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ソビエト連邦国立銀行Государственный банк СССР/Gosudarstvennïy bank SSSRの略称。ソビエト連邦時代の中央銀行であり、同時に計画経済の資金面のセンターとしての役割を担い、さらに商業銀行としての機能も果たした。1991年ソビエト連邦崩壊後、翌92年1月、中央銀行としての役割はロシア中央銀行に引き継がれた。
[石野 典]
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[ソ連・アメリカの銀行制度]
ソ連(ロシア)では,革命後急速に銀行国有化が推進され,1922年には銀行券の発行権限が全面的にロシア共和国国立銀行に集中された。同行は翌23年にゴスバンクと改称し,預金銀行業務をも管理するに至った。第2次大戦後,ゴスバンクへの銀行業務の集中はさらに進み,農業部門以外への長期金融業務と国際金融業務とを除くすべての銀行業務が同行によって営まれた。…
…作成された計画を実行に移す生産単位は企業ないしは企業連合である。また計画は実際に遂行されたか否か点検される必要があるが,その責任を負うのは中央統計局と国立銀行(ゴスバンク)であった。 ソ連で作成される経済計画は対象となる期間により,操業計画(日間,旬間,月間,四半期),経常計画(1年),展望計画(中期計画(5年)・長期計画(15~20年))に分類された。…
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[金融]
財政と併せて金融が問題であり,現代諸国では一般に財政・金融の一体化が進んでいるが,旧ソ連邦の場合は,西側でいう信用創造という意味での金融は原則として存在しなかった。ゴスバンク(国立銀行)のほとんど独占的で圧倒的な一元支配下に金融はおかれていたともいえる(1987年の改革により,ゴスバンクは中央銀行として機能することになり,5行の商業銀行が新設された)が,これもいわゆるアクティブ・マネー(能動貨幣)を供給するものではなく,計画経済の枠に沿って動く物財のいわば逆等価の記帳をもって主務としたものである。いわば資金の受入れ窓口であり,資金配分機関なのであって,利殖を求めての投資機関ではなかった。…
※「ゴスバンク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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