日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴータ」の意味・わかりやすい解説
ゴータ
ごーた
Gotha
ドイツ中部、チューリンゲン州の都市。1949~90年は旧東ドイツに属した。チューリンガー・ワルト山地前地の標高308メートルにあり、人口4万8400(2000)。1640~1918年の間、公爵領の宮廷都市として栄え、行政、文化の中心地であった。古くから地理研究と地図製作の地として知られ、天文台や、日本はじめ全世界に売られている掛地図を作成するユストゥス・ペルテスJustus Perthes研究所などの教育研究機関や保険会社がたくさんつくられた。多くの小領邦に分かれていたこの地方は、1920年チューリンゲンに統一された結果、中央官庁はほとんどワイマールに移された。繊維、陶磁器工業が18世紀なかばごろから発達したが、今日では金属加工工業の就業者が全就業者人口の4割を占めている。ついでゴム工業も盛んである。五つの専門学校があり、科学技術の伝統は生きている。17世紀のフリーデンシュタイン城、後期ゴシック様式の教会、16世紀の市庁舎など、歴史的建造物が多い。1875年、ドイツ社会主義労働者党の「ゴータ綱領」採択の地。
[佐々木博]