サギフエ(読み)さぎふえ(英語表記)snipe fish

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サギフエ」の意味・わかりやすい解説

サギフエ
さぎふえ / 鷺笛
snipe fish
trumpet fish
[学] Macrorhamphosus sagifue

硬骨魚綱トゲウオ目サギフエ科に属する海水魚。岩手県以南の太平洋沿岸、北海道南部から兵庫県までの日本海、東シナ海、台湾に分布する。体は薄くて堅く、粗雑な鱗(うろこ)で包まれる。頭部の前半部は細い管状となって、その先端に小さな口がある。第1背びれには4~7本の棘(とげ)があるが、そのうちの第2棘(きょく)はとくに強大である。腹びれ腹部にあり1棘5軟条よりなる。体は上半分が赤く、下半分は銀白色である。全長20センチメートルになる。500メートル以浅の砂泥底近くに群れで生息する。体をやや斜めに倒立して、海底にすむ動物プランクトン、甲殻類などの小動物を食べる。産卵期は1~2月。稚魚外洋表層にすむ。底引網で漁獲されるが、食用にしない。風変わりな体つきと生態から水族館で展示される。

 本種と似たダイコクサギフエMacrorhamphosus japonicusは体が低く、第2背びれ棘が短くて、倒すと第2背びれ基底後端を越えないこと、この棘の後縁に鋸歯(きょし)がないことなどでサギフエと区別できる。しかしこれら2種を同種とする研究者もいる。サギフエに似た化石が後期白亜紀から知られている。

落合 明・尼岡邦夫]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サギフエ」の意味・わかりやすい解説

サギフエ
Macroramphosus scolopax

トゲウオ目サギフエ科の海水魚。全長 20cm内外。体は強く側扁し,吻は管状に伸びる。背鰭第2棘は強大で,尾鰭の基底より後方に伸びる。腹鰭は小さく,腹位。体表は硬い。体は紅色で,腹部は銀光沢が強い。長距離を移動するときには水平に泳ぐが,普段は頭を下に向けて体を斜めにしている。南日本,インド・西太平洋域に分布する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

放射冷却

地表面や大気層が熱を放射して冷却する現象。赤外放射による冷却。大気や地球の絶対温度は約 200~300Kの範囲内にあり,波長 3~100μm,最大強度の波長 10μmの放射線を出して冷却する。赤外放射...

放射冷却の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android