さく井(読み)さくせい

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

さく井
さくせい

石油井や水井戸の掘削をさく井という。さく井は衝撃式掘削と回転式掘削に分けられる。前者には上総(かずさ)掘りや綱式掘削があり、後者にはロータリー式掘削やターボドリルがある。[田中正三]

綱式掘削

綱式掘削は、地表よりつり下げられたワイヤーの先端にビットとよばれる岩石を破砕する掘り器具を取り付け、地表でビームによりビットに上下運動を与えて岩石を衝撃破砕する。石油鉱業の初期には綱式掘削で石油井の掘削を行い、1000メートル以上も坑井の掘削ができるようになった。ロータリー式掘削の発達により綱式掘削は石油鉱業では使用されなくなったが、水井戸や温泉掘削では、(1)小型機械で大孔径の井戸が掘れる、(2)運搬が容易である、(3)地表近くの大きな石がある地層を速く掘れるなどの利点があるため、現在でも広く用いられており、自動車に取り付けた綱式装置もある。[田中正三]

ロータリー式掘削

石油鉱業で現在もっとも広く用いられている掘削法は、ロータリー式掘削である。掘削装置は、直接地層を掘削する装置、掘削に関係する装置を地表へ巻き上げる装置、および掘削で破砕された岩石を回収するポンプ系統の3部分に分けられる。地層の掘削は、地表より掘管(ほりかん)とよばれる鋼鉄製のパイプを下げ、その下端にドリルカラーとよぶ肉厚パイプを、またその先端にビットを取り付け、ビットにドリルカラーの荷重をかけ、掘管で回転を与え、錐(きり)で木の板に穴をあけるようにして掘っていく。掘管の回転は地表のロータリーテーブルという回転機械で与えられる。掘管やビットの巻き上げは、櫓(やぐら)につけられた滑車を用い、滑車はドローワークスという巻き上げ機械で昇降する。ビットで破砕された岩石の破片を掘くずという。掘くずは掘管の中を流下してきた泥水とともに、掘管と坑壁の間を上昇して地表へ回収される。泥水は粘土と水を主成分とし、それに薬品や、比重を大きくする材料であるバライトを添加し調整される。泥水の役割は掘くずの運搬のほか、ビットで掘った裸坑にじょうぶな薄い粘土の膜をつくり坑壁を保持すること、坑井内の圧力を地層中の流体の圧力より大きくして、地層から油やガスの噴出を防ぐことである。ニュースなどの映像で報ぜられる石油井の油の噴出は、泥水圧力が地層圧力に負けた結果であることが多い。[田中正三]

ターボドリル

ロータリー式掘削は地表で掘管に回転を与えるため、掘管が回転中坑壁に接触しエネルギーの損失がおこる。これを避けるため、ビットの直上にタービンを取り付け、泥水でタービンとビットに回転を与える方法が考案された。この方法はターボドリルとよばれ、旧ソ連で開発され使用された。ターボドリルは理論上ビットに大きな馬力が伝えられるが、地層条件によりつねにロータリー式より速く掘れるとはいえないので、石油井掘削の主力はロータリー式掘削である。[田中正三]

傾斜掘削

石油井の掘削は現在では垂直に坑井を掘るより、傾斜した坑井を掘ることが多い。海底油田のように一つのプラットホームから多くの坑井を掘らねばならぬときは、傾斜掘りで油田の開発を行う。目的箇所を中心にした直径20メートル程度の円の内部に傾斜井を誘導していくことができるので、油の噴出をおこした坑井の油の流出を止めるためにも、傾斜掘りを実施することがある。[田中正三]

石油井の深度

石油井の深度はしだいに深くなり、世界の最深井の記録はロシアのコラ半島の1万2261メートル(1992年)、日本では新潟県巻町(現新潟市西蒲(にしかん)区)の「新竹野町」の6310メートル(1992~93年)である。[田中正三]

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