サルサ(読み)さるさ(英語表記)salsa

翻訳|salsa

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サルサ」の意味・わかりやすい解説

サルサ
さるさ
salsa

キューバ起源のアメリカのポピュラー・ダンス音楽。スペインの舞踊音楽と西アフリカの舞踊リズムとが融合してできあがったダンソンdanzón、グアラーチャguaracha、ソンson、ルンバチャチャチャマンボなどのアフロ・キューバン音楽要素をもとに、1940年代につくられた混成音楽。サルサとは「(料理用の)ソース」という意味だが、その語義のとおり、さまざまな音楽的要素の混ざり合いを大きな特徴としている。

 1950年代には多くのキューバ人音楽家がニューヨークへ移住し、そこでビッグ・バンドによるスウィング・ジャズ様式を取り入れ、「ラテン・ジャズ」として発展させた。このころ、ボーカル、パーカッションボンゴコンガクラベスマラカスギロなどの打楽器)、ピアノ、ベース・ギター、トランペットトロンボーンサクソフォーンなど、十数人からなる編成が標準的となった。

 その後1960年代から1970年代にかけて、サルサを大きく発展させたのは、ニューヨークに住むプエルト・リコからの移住者たちだった。彼らは、自国の音楽の要素(ボンバbombaとよばれるリズムやクアトロcuatroという小型の10弦ギター)、およびジャズの要素(ハーモニーや即興的な独奏スタイル)を積極的に取り入れた。それによりサルサは、当時のプエルト・リコ人の文化的なシンボルになるとともに、ほかのラテン・アメリカ諸国(ベネズエラコロンビアパナマなど)にも広がっていった。

 1980年代から1990年代にかけて、ラテン・バラードをサルサのリズムと融合させた新しいスタイル、サルサ・ロマンティカが生まれた。その特徴は、よりロマンティックな歌詞とゆっくりとしたテンポ、リズムよりもメロディの重視、コード変化の多用などにあり、官能的な踊りとも結び付いて多くのヒット曲が生まれた。

 1950年代から1990年代におけるサルサの代表的な演奏家と歌い手としては、ピアノ奏者エディ・パルミエリEddie Palmieri(1936― )、パーカッション奏者のレイ・バレットRay Barretto(1929―2006)、ティト・プエンテ、サルサの歌姫セリア・クルーズCelia Cruz(1925―2003)、トロンボーン奏者・歌手のウィリー・コロンWillie Colón(1950― )、ギター奏者・歌手のルベン・ブラデスRubén Blades(1948― )、歌手のホセ・アルベルトJosé Alberto(1958― )、ラロ・ロドリゲスLalo Rodríguez(1958― )らがあげられる。

[山田陽一]

『SALSA HOTLINE JAPAN編『SALSA!――恋するサルサブック』(1999・音楽之友社)』『スー・スチュワード著、星野真理訳『サルサ――ラテンアメリカの音楽物語』(2000・アスペクト)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サルサ」の意味・わかりやすい解説

サルサ
salsa

キューバ音楽にジャズ的な要素を加えた,リズム主体の新しいラテン音楽。 1970年代にニューヨーク在住のミュージシャンによって生み出され,その現代的な感覚が受入れられて一時代を画した。日本のサルサ・グループではオルケスタ・デ・ラ・ルスが,日本はもとよりニューヨークや中南米で人気を博している。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android