サルサ(読み)さるさ(英語表記)salsa

翻訳|salsa

デジタル大辞泉 「サルサ」の意味・読み・例文・類語

サルサ(〈スペイン〉salsa)

キューバ民族音楽をもとにしたラテン音楽。1960年代から1970年代にかけてニューヨークで流行した。速いテンポが特徴。サルサミュージック。
メキシコ料理などで使われるソーストマトトウガラシタマネギなどを加えて作る。サルサソース

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「サルサ」の意味・読み・例文・類語

サルサ

  1. 〘 名詞 〙 ( [ラテン語] sarsa ) ユリ科のつる性落葉低木。北アメリカおよび中央アメリカの原産。茎は強くしなやかで稜があり、葉は長柄をもち長心臓形。托葉の変化した二本の巻ひげがある。夏、葉腋(ようえき)散形花序に小形の緑色の花を多数つける。果実は径約一センチメートルの球形。根をサルサ根といい利尿、発汗、皮膚病、梅毒の薬とする。〔遠西医方名物考補遺(1834)〕

サルサ

  1. 〘 名詞 〙 ( [スペイン語] salsa ) 一九六〇年代に、ニューヨークに移民したプエルトリコ人やキューバ人たちが、キューバやプエルトリコの音楽をもとにして発展させた音楽。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サルサ」の意味・わかりやすい解説

サルサ
さるさ
salsa

キューバ起源のアメリカのポピュラー・ダンス音楽。スペインの舞踊音楽と西アフリカの舞踊リズムとが融合してできあがったダンソンdanzón、グアラーチャguaracha、ソンson、ルンバチャチャチャマンボなどのアフロ・キューバン音楽の要素をもとに、1940年代につくられた混成音楽。サルサとは「(料理用の)ソース」という意味だが、その語義のとおり、さまざまな音楽的要素の混ざり合いを大きな特徴としている。

 1950年代には多くのキューバ人音楽家がニューヨークへ移住し、そこでビッグ・バンドによるスウィング・ジャズ様式を取り入れ、「ラテン・ジャズ」として発展させた。このころ、ボーカル、パーカッションボンゴ、コンガ、クラベスマラカス、ギロなどの打楽器)、ピアノ、ベース・ギター、トランペットトロンボーンサクソフォーンなど、十数人からなる編成が標準的となった。

 その後1960年代から1970年代にかけて、サルサを大きく発展させたのは、ニューヨークに住むプエルト・リコからの移住者たちだった。彼らは、自国の音楽の要素(ボンバbombaとよばれるリズムやクアトロcuatroという小型の10弦ギター)、およびジャズの要素(ハーモニーや即興的な独奏スタイル)を積極的に取り入れた。それによりサルサは、当時のプエルト・リコ人の文化的なシンボルになるとともに、ほかのラテン・アメリカ諸国(ベネズエラコロンビア、パナマなど)にも広がっていった。

 1980年代から1990年代にかけて、ラテン・バラードをサルサのリズムと融合させた新しいスタイル、サルサ・ロマンティカが生まれた。その特徴は、よりロマンティックな歌詞とゆっくりとしたテンポ、リズムよりもメロディの重視、コード変化の多用などにあり、官能的な踊りとも結び付いて多くのヒット曲が生まれた。

 1950年代から1990年代におけるサルサの代表的な演奏家と歌い手としては、ピアノ奏者エディ・パルミエリEddie Palmieri(1936― )、パーカッション奏者のレイ・バレットRay Barretto(1929―2006)、ティト・プエンテ、サルサの歌姫セリア・クルーズCelia Cruz(1925―2003)、トロンボーン奏者・歌手のウィリー・コロンWillie Colón(1950― )、ギター奏者・歌手のルベン・ブラデスRubén Blades(1948― )、歌手のホセ・アルベルトJosé Alberto(1958― )、ラロ・ロドリゲスLalo Rodríguez(1958― )らがあげられる。

[山田陽一]

『SALSA HOTLINE JAPAN編『SALSA!――恋するサルサブック』(1999・音楽之友社)』『スー・スチュワード著、星野真理訳『サルサ――ラテンアメリカの音楽物語』(2000・アスペクト)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「サルサ」の意味・わかりやすい解説

サルサ
salsa[スペイン]

1960年代の後半から70年代にかけてニューヨークを中心に行われたラテン・アメリカ音楽の一つ。音楽的特徴はキューバ音楽の伝統を受け継いでいるが,担い手はおもにプエルト・リコからの移民たちで,急速に増大しつつあったスペイン語使用集団の文化的紐帯としての役割を果たした。人気ミュージシャンはピアノのエディ・パルミエーリ,トロンボーンのウィリー・コロンなど。73年8月にヤンキー・スタジアムで行われたサルサ・コンサートには4万人の聴衆が集まり,最高の盛上りをみせた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「サルサ」の意味・わかりやすい解説

サルサ(音楽)【サルサ】

米国のニューヨークに住むプエルト・リコ人の間で生まれたダンス音楽。1960年代にキューバのソンのスタイルが発達したもので,キューバのルンバ,キューバの新しいアフリカ系宗教サンテリーアの太鼓演奏,ポピュラー・ラテン・リズム,アメリカのジャズとロックが深く影響している。急速に増大しつつあったスペイン語使用集団の文化的紐帯としての役割を果たす。1970年代半ばに世界に紹介され,新感覚にあふれた現代のラテン音楽として注目され,E.パルミエリ,W.コロンなどの演奏家がでた。スペイン語で〈ソース〉の意。

サルサ(食品)【サルサ】

メキシコのトウガラシ入りソース。サルサはスペイン語でソースの意。メキシコではトウガラシの種類が多いので,味の異なる様々なサルサが作られ,メキシコで最もポピュラーな食べ物であるタコスを食べるとき,タコスの中身にふりかけたりする。刻んだトウガラシと,やはり細かく刻んだトマトを入れたサルサ・メヒカナがよく使われる。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サルサ」の意味・わかりやすい解説

サルサ
salsa

キューバ音楽にジャズ的な要素を加えた,リズム主体の新しいラテン音楽。 1970年代にニューヨーク在住のミュージシャンによって生み出され,その現代的な感覚が受入れられて一時代を画した。日本のサルサ・グループではオルケスタ・デ・ラ・ルスが,日本はもとよりニューヨークや中南米で人気を博している。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「サルサ」の解説

サルサ【salsa(スペイン)】

ソース。特にメキシコなどのラテンアメリカで用いられるものをさすことが多い。トマトととうがらしなどで作る「サルサ・ロハ(赤いソース)」、アボカドで作る「ワカモレ」などがある。⇒ソース

出典 講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について 情報

音楽用語ダス 「サルサ」の解説

サルサ[salsa]

ラテン・ミュージックの1スタイル。土着のものではなく、ニューヨークに住むヒスパニック系もしくは黒人のミュージシャンたちによって生み出された、洗練されたラテン・ミュージック。

出典 (株)ヤマハミュージックメディア音楽用語ダスについて 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android