サワヒヨドリ(読み)さわひよどり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サワヒヨドリ」の意味・わかりやすい解説

サワヒヨドリ
さわひよどり / 沢鵯
[学] Eupatorium lindleyanum DC.

キク科(APG分類:キク科)の多年草。茎は直立し、高さ40~100センチメートル。上部に縮れた毛を密生する。葉は無柄で、対生し、質はやや厚く、両面に縮れた毛が多く、裏面には腺(せん)点がある。長さ6~12センチメートル、幅1~2センチメートルで、披針(ひしん)形から楕円(だえん)形まで変異があり、三行脈が著しく、深く3裂するものもある。8~10月、茎頂に多数の頭花を散房状につける。頭花は5個の管状花からなる。日当りのよい湿地に生え、北海道から沖縄、朝鮮半島、中国大陸南東部、台湾、フィリピン、ベトナムに広く分布する。まれに葉の下面にまったく腺点のない品種ホシナシサワヒヨドリがあり、伊豆諸島犬吠埼(いぬぼうさき)には、葉が丸く、両面に白色の長軟毛を密生する変種ハマサワヒヨドリが分布する。

[小山博滋 2022年2月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サワヒヨドリ」の意味・わかりやすい解説

サワヒヨドリ
Eupatorium lindleyanum

キク科の多年草で,アジア温帯から熱帯に広い分布をもつ。日本各地の山地の日当りのよい湿地に生える。茎は直立し,高さ 50cm内外で,長さ6~12cmの披針形の葉を対生する。葉柄はほとんどなく,ときに葉身は深く3裂する。8~10月,茎頂に密な散房花序をなして白色または淡紅紫色の小さな頭状花を多数つける。各頭花は少数の管状花より成る。

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