サンベルナール峠(読み)サンベルナールとうげ(英語表記)Saint-Bernard

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サンベルナール峠」の意味・わかりやすい解説

サンベルナール峠
サンベルナールとうげ
Saint-Bernard

イタリア語ではサンベルナルド San Bernardo。イタリア=スイス国境の大サンベルナール,イタリア=フランス国境の小サンベルナールの2つがあり,ともに,アルプスを越えてイタリアと中部ヨーロッパを結ぶ,古代ローマ以来の重要な交通路上の峠である。大サンベルナール (グランサンベルナール) Grand-Saint-Bernardは,イタリア北西端バレダオスタ州の州都アオスタと,その北方,スイス南西部バレー州ローヌ河谷のマルティニを結ぶ峠。モンブランの東方にあり,国境の峠としては世界有数の高さで,標高 2469m。峠近くにある石造のアウグスチノ会修道院と宿坊は,マントンの聖ベルナールが 10世紀に再建したもので,以来,旅人の救いの宿となってきた。現在セントバーナードという英語名で知られる種類のイヌが,この宿坊付近の雪原を舞台に多くの旅人の難を救ったことは有名。 1800年5月,ナポレオン1世は4万の軍を率い,乗馬道のこの峠を越えてイタリアに入った。現在は大サンベルナール本道トンネル (1964開通,全長 5855m) により冬季も自動車の通行が可能。小サンベルナール (プティサンベルナール) Petit-Saint-Bernardは,アオスタから西方のクルマユールを経て,フランス東部サボア県のブールサンモリスにいたる峠で,モンブランの南方,正確にはフランス領内にあり,標高 2188m。前 218年,カルタゴ軍を率いたハンニバルはこの峠を越えてローマに入ったといわれ,古くからアルプス越えの主要路の一つ。ヘラクレスが通ったなどの伝説もある。

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