金融機関にかわって、返済が滞っている債権を管理・回収する専門会社。銀行、リース会社、クレジット会社などから債権回収を受託して手数料を稼ぐほか、債権の担保である不動産などを売却して利益をあげる。金融機関が独自に回収するより効率がよい場合が多いうえ、金融機関にとってはサービサーに不良債権を売却すれば貸借対照表から切り離して不良債権を最終処理できる利点がある。
アメリカでは、債権回収業務の中心的機関として定着している。日本では暴力団の介入を防ぐ目的などで、債権回収業務は弁護士にしか認められていなかった。しかし1990年代前半、バブル経済崩壊後の不良債権問題の象徴であった住宅金融専門会社(住専)を処理するため、公的サービサーとして「住宅金融債権管理機構」(現在の整理回収機構)が設立された。その後も不良債権処理が遅々として進まないため、政府・自民党は1998年(平成10)、金融再生トータルプランで民間サービサーの解禁を表明。1999年施行の「債権管理回収業に関する特別措置法」(サービサー法)で、民間企業が法務大臣の認可を受ければサービサー業務を行えるようにした。
法務省によるとサービサー数は102社、法律施行以後の取扱債権数は8374万件、債権額は279兆円に達し、うち約31兆円を回収している(2009年末時点)。
[矢野 武]
(竹内文則 富士常葉大学教授 / 森岡英樹 金融ジャーナリスト パラゲイト・コンサルタンツシニア・リサーチ・アソシエイツ / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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