改訂新版 世界大百科事典 「シタキソウ」の意味・わかりやすい解説
シタキソウ
Stephanotis japonica Makino
関東以西の暖地海岸林に生えるガガイモ科の落葉つる植物。葉は光沢のある濃緑色,多肉質の楕円形で長さ6~12cm,短い葉柄を有し対生する。花は初夏,白色で数花を散状につけ,芳香がある。マダガスカルシタキソウS.floribunda Brongn.は常緑つる性草本で,基部は木質化する。マダガスカルの原産で,英名がMadagascar jasmineであるために,一般にはマダガスカルジャスミンと呼ばれる。白色の筒状花が,ジャスミンの仲間に似て芳香があるのでこう呼ばれるのであろうが,ジャスミンの仲間ではない。花は上部葉腋(ようえき)から出る短花梗に6~9花を散状につけ,長さ4cmほどの筒状部を有し,先端は5裂片をなす。開花期は不定だが,夏~秋によく咲く。まれに結実し,長さ8~10cmの楕円形の実をつける。挿木でふやし,支柱を立て行灯(あんどん)仕立てにするが,つり鉢にしてもよい。日光によくあて,徒長させないようにし,伸び過ぎた枝は摘心する。冬は灌水をひかえ,10℃以上に保つ。日本には明治中ごろに導入されたが,一般に普及しはじめたのは最近のことである。
執筆者:高林 成年
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報