改訂新版 世界大百科事典 「シモフリスズメ」の意味・わかりやすい解説
シモフリスズメ (霜降天)
Psilogramma increta
鱗翅目スズメガ科の昆虫。翅の開張10cm内外。前翅に灰白色,黒鱗を散布する。黒色の横帯が3本あるが,いずれも前縁部からしだいに細まり,薄くなる。2本の縦線と翅頂から出る黒線は濃い。後翅はビロード状に黒く,後角近くが白っぽい。幼虫は老熟すると体長8cm内外に達し,青緑色の地に腹部の各環節には白線があり,尾角(びかく)という第8節の突起は1.2cm内外,円錐形の小突起を密生している。幼虫の中には緑色型のほか褐色型や中間型もある。ゴマ,クマツヅラ,モクセイ,シソ,スイカズラなど多くの科の植物に寄生するが,ゴマやキリについていることが多く,これらの害虫とされている。さなぎで越冬し,第1回目の成虫は5~6月に羽化する。第2回目の発生は8~10月。夜行性で,よく灯火に飛来する。北海道を除く日本全国,朝鮮半島,中国東部に分布する。山地ではむしろ少なく,平地に多い。一般に雌のほうが大型で,前翅が少し丸みをもつ。
執筆者:井上 寛
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報