デジタル大辞泉
「合せる」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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あわ・せるあはせる【合・会・逢・遭】
- 〘 他動詞 サ行下一段活用 〙
[ 文語形 ]あは・す 〘 他動詞 サ行下二段活用 〙 - [ 一 ] ( 合 ) 物と物とを一つに重ねる。また、物と物とをつり合うようにする。
- ① 物と物とを寄せて一つにする。食い違わないようにする。
- (イ) 一方を他にうまく重ねる。また、すきまなくくっつける。
- [初出の実例]「いとうるはしう袖をあはせて、二人ばかり出で来て」(出典:枕草子(10C終)一四二)
- (ロ) (心、力、声、数量などを)うまく一致させる。
- [初出の実例]「これは、きみもひとも、身をあはせたりといふなるべし」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
- 「声あはせて舞ふほどもいとをかしきに」(出典:能因本枕(10C終)一四五)
- 「時計を号砲(どん)に合(アハ)せることを忘れた時には」(出典:雁(1911‐13)〈森鴎外〉一)
- (ハ) ある事に応じて行なう。ある事がなされる時に一致するように行なう。
- [初出の実例]「つばくらめ尾をさげていたくめぐるにあはせて」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- 「御いらへに、いかがはと啓するにあはせて」(出典:枕草子(10C終)一八四)
- (ニ) つけ加える。また、いっしょにする。一つにまとめる。合計する。
- [初出の実例]「もち月のあかさを十合せたるばかりにて」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- 「法師原、大中童子などあはせて七八十人ばかり」(出典:大鏡(12C前)四)
- 「越王、呉を并するのみならず、晉楚斉秦を平げて」(出典:三国伝記(1407‐46頃か)六)
- (ホ) (薬、薫香、食品などを)うまく混ぜる。調合する。
- [初出の実例]「おほやけ、わたくしのどやかなるころほひにたき物あはせ給ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)梅枝)
- 「願はくは是れを読みて薬を合せ給へ」(出典:日本読本(1887)〈新保磐次〉四)
- (ヘ) ( 占いと事実とを一致させる意 ) 夢で、吉凶を判断する。うらなう。
- [初出の実例]「よき御男ぞいでこむとあはするに」(出典:伊勢物語(10C前)六三)
- 「様異なる夢を見給ひてあはする者を召して問はせ給へば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
- (ト) 釣りで、あたりに合わせて竿などを上げ、針を魚に引っかける。
- [初出の実例]「其処らで合せないと可(いけ)ませんよ、ソウーラ…餌を奪られましたらう」(出典:落語・佃島(1900)〈初代三遊亭金馬〉)
- 「鉤(はり)を合(ア)はせてぐっと引揚げた」(出典:茶話(1915‐30)〈薄田泣菫〉片腕)
- ② 状態や程度を適合させる。
- (イ) ある状態や時期、程度などにふさわしいようにする。また、相手の言動に応じてうまくあしらう。
- [初出の実例]「家のほど、身の程にあはせて侍るなりといらふ」(出典:枕草子(10C終)八)
- 「こいつはようござりませう〈略〉と、調子を合せけるを」(出典:滑稽本・古朽木(1780)三)
- (ロ) 二つ以上の音、声、動きなどを調和させる。調子をととのえる。
- [初出の実例]「かのひめ君、琵琶あはせてあそばしし」(出典:宇津保物語(970‐999頃)内侍督)
- 「足踏みを拍子(はうし)にあはせて」(出典:枕草子(10C終)一四二)
- ③ ( 刃と石とを適合させる意か ) といで刃を鋭くする。
- [初出の実例]「髪そりを、よふあわせい」(出典:天理本狂言・忠喜(室町末‐近世初))
- [ 二 ] ( 会・逢・遭 ) 顔をあわせる。男女をあわせる。力と力とをぶつからせる。
- ① 対面させる。面会させる。また、(顔を)互いに向ける。
- [初出の実例]「われにかれみそかにあはせよ」(出典:落窪物語(10C後)一)
- 「主人は滅多に吾輩と顔を合せる事がない」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一)
- ② ある現象や事件などにぶつかるようにする。経験させる。
- [初出の実例]「住吉(すみのえ)の あが大御神 船の舳(へ)に うしはきいまし〈略〉荒き風 波に安波世(アハセ)ず 平けく 率(ゐ)て帰りませ もとの国家(みかど)に」(出典:万葉集(8C後)一九・四二四五)
- 「四海の民を一人も無く、飢渇(けかち)に合せんと思て」(出典:太平記(14C後)一二)
- ③ 夫婦にする。結婚させる。めあわす。
- [初出の実例]「願はくは幡梭(はたひの)皇女を得て以て大泊瀬(はつせの)皇子に配(アハセ)欲(む)」(出典:日本書紀(720)安康元年二月(図書寮本訓))
- 「さりともつひに男あはせざらんやはと思ひて」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- ④ 武器を互いに打ちあわせる。立ち向かわせる。戦わせる。
- [初出の実例]「試に是の人を召して蹶速に当(アハセ)んと欲ふ」(出典:日本書紀(720)垂仁七年七月(熱田本訓))
- 「ちゃうどあはせてをどりのく」(出典:平家物語(13C前)一二)
- [その他の文献]〔日葡辞書(1603‐04)〕
- ⑤ 鷹狩りで、鳥をねらって鷹を放つ。
- [初出の実例]「狩り暮らしあはする鷹のみねこえに行末しらぬほどぞかなしき」(出典:長秋詠藻(1178)上)
- ⑥ 物と物、あるいは人と人とを比べる。比較する。また、物の優劣を比べる遊びをする。
- [初出の実例]「かぎりなくめでたく見えし君だち、このいまみゆるにあはすれば、こよなくみゆ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)嵯峨院)
- 「竹取のおきなに宇津保のとしかげをあはせて争ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)絵合)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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