シャドーバンキング(読み)しゃどーばんきんぐ(英語表記)shadow banking

デジタル大辞泉 「シャドーバンキング」の意味・読み・例文・類語

シャドー‐バンキング(shadow banking)

投資銀行ヘッジファンドMMFなど銀行以外の金融主体を通じて資金を融通すること。金融当局による規制を受けずに、多額の資金を集めてリスクの高い金融商品に投資するため、金融システム安定支障を生じさせるおそれがある。2008年に発生したリーマンショックに端を発する世界金融危機一因となったとされる。影の銀行。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャドーバンキング」の意味・わかりやすい解説

シャドーバンキング
しゃどーばんきんぐ
shadow banking

金融監督当局の規制の下にある銀行を介さずに、証券会社やヘッジファンド、証券化のための特殊な運用業者などを通じて金融取引を行う金融業態の総称。「影の銀行」ともいう。銀行と比べて関連規制が緩いため、資金の流れが不透明で、不良債権化しやすいなどのリスクがある。

 2000年以降、欧米の大手金融機関は、連結決算の対象に含まれないペーパーカンパニーを多く設立し、資金調達と運用に活用した。これが2007年ころからのサブプライムローン問題をはじめとする世界金融危機を引き起こす原因の一つとなったとされる。中国では2011年ごろから急速に拡大し、シャドーバンキングを通じた金融取引総額は、2012年末時点で中国の国内総生産の29%に相当する約233兆円に上る(中国社会科学院調べ)。中国におけるシャドーバンキングのもっとも大きなリスクは、銀行の窓口で販売する一般投資者向けの高利回りの資産運用商品(いわゆる「理財商品」など)で集められた巨額な資金が、各地地方政府が主導する収益性の低い投資プロジェクトなどに流れたことであると指摘されている。投資プロジェクトがうまくいかず、巨額の不良債権となった場合、責任所在がはっきりしないため、中国の金融システム全体への影響が懸念されている。欧米メディアのなかには、中国発の金融危機を警戒する声もある。習近平(しゅうきんぺい)政権は2013年春から、シャドーバンキングへの監視体制を強化し、規定条件を満たさない理財商品を発売する地方銀行や金融業者に対し厳しく処罰する姿勢を示したが、効果はあまりないといわれている。

[矢板明夫]

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知恵蔵mini 「シャドーバンキング」の解説

シャドーバンキング

金融監督当局の規制を受けている銀行の融資以外の金融取引の総称。「影の銀行」とも呼ばれ、通常の銀行ではなく、投資銀行(証券会社)やヘッジファンド、証券化のための特殊な運用会社などの金融業態や企業同士での資金の貸し借りなども含まれる。2013年6月、中国のシャドーバンキングの破綻が国際金融に与える影響についての懸念が各方面で表明された。この背景としては、中国金融当局が金融引き締め的措置を取り、資金量を絞り込もうとしているという見方が広がっている。これにより中国では、銀行間で資金を融通し合う短期金融市場の金利が急上昇し、上海市場の株価が大幅に下落するなど金融市場が不安定となり、「中国金融危機」が取りざたされるに至った。この状況を受けて、6月28日には麻生副総理兼財務大臣が中国のシャドーバンキングについて、「規模や実態が分からず不安材料」だとし、今後の動向を注視する考えを示した。

(2013-7-2)

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