日本音楽の理論用語。声明(しようみよう)で,低,中,高の三つの音域を区別して,初重,二重,三重という。たとえば3オクターブに及ぶ五音(ごいん)の並びについて,宮(きゆう)~羽(う)をひとまとまりとして中間の音域のものを二重といい,また同一詞章による短い旋律を,段階的に音高と気分を高揚させながら3度唱える場合の2度目をいう。後者の二重は,初重,三重との音程関係が確定している場合と,していない場合とがある。その二重がさらに発展した例は,講式に見ることができる。すなわち,初重と三重との中間の音域で作曲されて楽式上のひとまとまりとなっている部分であるが,講式の二重は,音域のほかにもはなやかな旋律であるのが特徴で,淡々と続いてきた初重のあとに配されて,はっきりした音楽上の転換をもたらすのに効果を生んでいる。
執筆者:蒲生 郷昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…大道具師の祖といわれるのは江戸日本橋の宮大工の子,初世長谷川勘兵衛(?‐1659)で,その後世襲した代々の勘兵衛によって技術は急速に進歩して現在に及んでいる。 歌舞伎の大道具は,基本的には〈二重(にじゆう)〉と〈張物(はりもの)〉の二つで構成される。二重とは舞台の床と平行で一段高い,家屋,土手,山などの土台を作る台のことで,高さによって常足(つねあし),中足(ちゆうあし),高足(たかあし)などの種類がある。…
… 大道具や小道具も,特殊な例外を除いては写実を避け,様式性を重んじて製作される。定式(じようしき)の大道具の基本は〈二重〉と〈張物〉から成り立っている。〈二重〉は高さに4段階があり,〈高足(たかあし)〉〈中足(ちゆうあし)〉〈常足(つねあし)〉〈尺高(しやくだか)〉と呼ぶ。…
※「二重」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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