シロガネダラ(読み)しろがねだら(その他表記)North Pacific hake

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シロガネダラ」の意味・わかりやすい解説

シロガネダラ
しろがねだら / 白金鱈
North Pacific hake
[学] Merluccius productus

硬骨魚綱タラ目メルルーサ科に属する海水魚。おもに北米大陸のアラスカからカリフォルニア湾の沿岸に分布し、そのほかにベーリング海アリューシャン列島間宮(まみや)海峡に分布する。日本では北海道釧路(くしろ)沖と青森県八戸(はちのへ)沖で捕獲された。体は細長く、やや側扁(そくへん)する。尾部は細長い。口は大きく、目の中央部下方まで開く。下顎(かがく)の前端はとがり、上顎よりわずかに突出する。下顎にひげがない。両顎の歯は鋭く犬歯状。背びれは2基で、第1背びれは小さく、伸長しない。第2背びれと臀(しり)びれの基底は長く、中央部で深くくぼむ。尾びれの後縁は截形(せっけい)(後端が平らに切りとられたような形)。胸びれは伸長し、その後端は臀びれの起部を越える。腹びれは胸びれよりも前に位置し、伸長しない。体は銀白色で、背部に小黒点が散らばる。口内は黒い。体長は90センチメートルほどになる。北米群は沿岸域から水深900メートルの広範囲にすみ、季節によって南北と深浅の回遊をする。春に南カリフォルニア沖の深海で産卵し、夏から秋にオレゴン州の南部まで北上する。冬には戻る。アシカなどの海獣の重要な餌(えさ)となる。トロール網で漁獲される。肉は柔らかい白身で、みそ漬け、粕(かす)漬け、すり身干物などにする。日本に輸入された冷凍切り身は外食給食でフライにされる。

 日本からメルルーサ科にもう1種ヒタチダラMerluccius australisが知られている。ヒタチダラはニュージーランドチリアルゼンチンなど南半球の水深120~1000メートルに生息しているが、茨城県那珂湊(なかみなと)沖でも捕獲された。この種は同属の北方型のシロガネダラと鰓耙(さいは)数が少ないことで容易に区別できる。

[尼岡邦夫 2016年8月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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