日本大百科全書(ニッポニカ) 「シンハラ石」の意味・わかりやすい解説
シンハラ石
しんはらせき
sinhalite
マグネシウム・アルミニウムのホウ酸塩鉱物。MgAl[BO4]の化学式からも推察されるように橄欖石(かんらんせき)構造をもつ。擬シンハラ石pseudosinhalite(化学式Mg2Al3[O|OH|(BO4)2])とともにシンハラ石‐擬シンハラ石群を構成する。原記載は苦土橄欖石と誤同定された砂鉱中の結晶で、宝石としてカットされたものについて行われた。自形は橄欖石類似の短柱状。数多くの柱面、庇面(ひめん)および底面をもつ。比較的高温高圧条件下で生成された苦灰岩(くかいがん)起源のスカルン鉱物の一つとして産する。日本での産出は未報告。
共存鉱物は、ルドイヒ石、ワーウィク石warwickite(Mg3Ti[O|BO3]2)、セレンディブ石serendibite(Ca2(Mg,Al)6[O2|(Si,Al,B)6O18])、苦土尖晶石(くどせんしょうせき)(苦土スピネル)、苦灰石、方解石など。同定は苦土橄欖石類似の光沢、硬度、比重。肉眼的には識別できない。命名は原産地セイロン島のサンスクリット語名シンハラSinhalaに由来する。
[加藤 昭]