日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジグモンディ」の意味・わかりやすい解説
ジグモンディ
じぐもんでぃ
Richard Adolf Zsigmondy
(1865―1929)
オーストリア出身、ドイツで活動したコロイド化学者。4月1日ウィーンに生まれる。ウィーン大学で学んだのち、ミュンヘン大学で1890年に有機化学の学位を取得、そのあと有機化学から離れた。ベルリンで有名な物理学者クントと仕事したのちグラーツで教え、続いてイエナのガラス工業会社に入り、着色ガラス、乳濁ガラスの研究に従事したが、このころよりコロイド溶液に興味が移った。1900年ごろからは、いわゆる「限外顕微鏡」の発明に専心した。これは、空気中のほこりが側方からの強い光線で輝いて見える現象(チンダル光)を応用したもので、側方から強力な光を照射してコロイド粒子を見る暗視野顕微鏡である。これによる金コロイドの挙動の研究はコロイド化学の黄金時代を飾るもので、1925年にノーベル化学賞を受けた。1907年ゲッティンゲン大学教授となり、1929年9月24日この地で死去した。
[中川鶴太郎]