日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジブロモエタン」の意味・わかりやすい解説
ジブロモエタン
じぶろもえたん
dibromoethane
エタンの臭素二置換体の一つ。1,2-ジブロモエタン(臭化エチレン、二臭化エチレン)と、1,1-ジブロモエタン(臭化エチリデン)の2種の異性体がある。いずれも無色液体。前者は臭素にエチレンを通すと得られ、EDBと略記されることがある。後者はブロモエチレンに臭化水素を作用させることにより得られる。いずれも水には溶けず、エタノール、エーテルに溶ける。1,2-ジブロモエタンを加水分解するとエチレングリコールに、アンモニアと作用させるとエチレンジアミンになる。1,1-ジブロモエタンは水と加熱するとアセトアルデヒドになる。1,2-ジブロモエタンは、植物の地下部に寄生する線虫の防除剤として用いられていたが、発癌(はつがん)性などの問題から使用中止となった。
[谷利陸平]