ジャーティ(その他表記)jāti

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジャーティ」の意味・わかりやすい解説

ジャーティ
jāti

「生れ」「家柄」「種族」などを意味するインド語で,カーストの意味にも用いられる。カーストという語は,ポルトガル人がジャーティ集団を自国語で「血統」「家柄」を意味するカスタという語で呼んだことに起因する。今日,ジャーティの数は主要なものでも 2000~3000に及ぶという。バラモンクシャトリヤバイシャシュードラから成るインド社会の伝統的4身分もカーストと称されることが多いが,この4身分はインド語でバルナ (種姓) と呼ばれ,ジャーティとは区別されている。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ジャーティ」の解説

ジャーティ
jāti

インドのカースト集団。内婚と共食単位を形成し,特定職業および身分と結びつけられる。ジャーティは「生まれ」を意味する。古典では,ジャーティの語はヴァルナと同様の身分の意味で用いられた。実体的な集団としてのジャーティが形成され,ヴァルナ概念と結びついてカースト制度が成立したのは,10世紀頃からのことであった。イギリス植民地支配下では従来のジャーティの範囲を越えたカースト的結合が形成され,現在でも行政単位や婚姻上の集団として重要性を持つ。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ジャーティ」の解説

ジャーティ
jati

インドにおけるヴァルナ制度のもとで,血縁や職業によって結ばれた排他性の強い集団
元来「生まれ(を同じくする集団)」を意味する言葉で,4つのヴァルナの混血や職業の細分化が進む中で複雑に形成されていった。それぞれのジャーティは職業だけにとどまらず,結婚や食事なども集団内部で行って閉鎖性を強めていったが,のちにこのジャーティ集団はポルトガル語の「家柄・血統」に由来する「カースト」とも呼ばれるようになった。現在は約3000のジャーティがあるとされているが,正確な数は把握できない。

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改訂新版 世界大百科事典 「ジャーティ」の意味・わかりやすい解説

ジャーティ
Jāti

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世界大百科事典(旧版)内のジャーティの言及

【インド[国]】より

…その意味するところは今も議論の対象となっているが,本来の後進諸階級が指定カーストScheduled Castesと指定部族Scheduled Tribesを指すものであることには見解の差はない。指定カーストとはヒンドゥー教徒とシク教徒の中のいわゆる不可触民のことで,英語が複数形になっているのは州ごとにそのジャーティ(サブ・カースト)のリストがあるからである。連邦議会や州議会の選挙,公務員への採用,公立学校への入学などに関して,人口比例でこれらの人々に特別の枠が留保されている(留保制度reservation system)。…

【インド】より

…ヒンドゥー教徒は生れによってヒンドゥーとなるのであり,社会的には多数のカースト集団のいずれかに帰属する。カースト制においては,人は生れによってカースト小集団(ジャーティ)に所属し,この地位は一生変わらない。ジャーティ集団は厳格な内婚制をとり,その成員の他集団との婚姻関係を認めない閉鎖性をもつ。…

【カースト】より

…結婚,食事,職業などに関する厳格な規制のもとにおかれた排他的な社会集団で,カーストを経済的な相互依存関係と上下の身分関係で有機的に結合した制度をカースト制度という。
[バルナとジャーティ]
 カーストとはポルトガル語で〈家柄〉〈血統〉を意味するカスタ(語源はラテン語のカストゥスcastus)に由来する語である。インドではカースト集団を〈生まれ(を同じくする者の集団)〉を意味するジャーティjātiという語で呼んでいる。…

※「ジャーティ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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