ジラルダン(その他表記)Émile de Girardin

改訂新版 世界大百科事典 「ジラルダン」の意味・わかりやすい解説

ジラルダン
Émile de Girardin
生没年:1806-81

フランスジャーナリスト,政治家。青年時代から種々の新聞を発行して成功した。1831年に女流作家デルフィーヌ・ゲーと結婚,この頃からパリサロンを開き一流の政治家や文学者を集めた。36年には政治新聞《プレス》紙を刊行したが,同紙の購読料を大新聞半額にし,その欠損を広告収入で埋めるという,当時としては画期的な経営方針をとった。また新聞小説を掲載して読者層を大幅に拡大した。他の大新聞もこれにならい,ここに新聞小説流行が始まった。エネルギッシュな活動家で,生涯に《モード》紙,《リベルテ》紙等の多数の新聞を発行し〈新聞王〉と呼ばれた。また政界にも打って出て,とくに二月革命や第三共和政の時代に活躍した。多くの社会的・政治的な論説劇作のほか,自伝作品《エミール》がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジラルダン」の意味・わかりやすい解説

ジラルダン
Girardin, Émile de

[生]1806.6.21. パリ
[没]1881.4.27. パリ
フランスの新聞経営者で政治家。ジラルダン伯の私生児として生れた。初め作家を志し,1830年の7月革命頃,新聞に興味をもつ。 31年女流作家 G.デルフィーヌと結婚。この頃からパリでサロンを開き,一流の政治家や文学者を集めた。 36年『プレス』 La Presseを創刊。広告収入を新聞経営の一つの土台にするという画期的な試みのおかげで,同紙の購読料は年間 40フランという当時としては破天荒な安さであった。また新聞小説を掲載して読者層を大幅に拡大した。ただし,オルレアン派の色彩が強かったせいもあって,政府の援助を受けていると噂され,そのため『ナシオナル』紙の A.カレルと決闘し,カレルは死んだ。 34年から政界入りもし,政治家としては節操のない態度を続けた。劇作や小説の筆をとり,また政治評論もしたが,新聞理論の面で評価されている。主著自伝小説の『エミール』 Émile (1827) 。

ジラルダン
Girardin, Delphine de

[生]1804.1.26. エクスラシャペル(ドイツ名アーヘン)
[没]1855.6.29. パリ
フランスの女流作家。旧姓 Gay。筆名 Charles de Launay。 E.ジラルダンの妻。娘時代から多くの文人の憧憬を集め,詩や小説を書き,また夫の新聞『プレス』に「パリ人の手紙」 Lettres parisiennesと題して消息記事を連載した。彼女のサロンには,ゴーチエ,ユゴー,ミュッセら多くの若いロマン派詩人たちが集った。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジラルダン」の意味・わかりやすい解説

ジラルダン
じらるだん
Émile de Girardin
(1806―1881)

フランスの廉価新聞創刊者。アレクサンドル・ド・ジラルダン伯爵の庶子。小説家、雑誌編集者、出版者として成功し、社交界にもてはやされた。1834年下院議員に当選、1836年には広告を重視した新聞『ラ・プレス』La Presseを一般紙の半額(年間40フラン)で売り出して、新聞界のナポレオンと称されるようになった。1842年ふたたび議員となり、世論の動向に伴ってその立場を変えたが、1848年にはナポレオン3世を支持、1862年ふたたび『ラ・プレス』の経営者となったほか、1866年には『ラ・リベルテ』La Libertéを復刊、1872年には『プチ・ジュルナル』Petit Journalを買収して成功するなど、新聞の経営・編集で新たな業績を示した。

[伊藤慎一]

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世界大百科事典(旧版)内のジラルダンの言及

【プレス】より

…フランスの新聞。1836年7月1日エミール・ド・ジラルダンが創刊した夕刊紙。広告収入に大幅に依存したフランス最初の日刊新聞で,ほかの新聞のほぼ半分の購読料だった。広告の利用や,バルザックやE.シューなどの新聞小説の創設により部数は拡大したが,王党派よりの紙面構成で不振に陥り,85年5月にいったん廃刊した。88年6月ブーランジスム左派の機関紙として復刊,その後は所有者や政治色を変えながら存続し,1915年前後にはパリの夕刊紙では最大の発行部数(約7万)を誇った。…

※「ジラルダン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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