フランスの哲学者、中世思想史家。パリに生まれ、パリ大学に学ぶ。1913年、画期的なデカルト研究(『デカルトにおける自由』『スコラ‐デカルト索引』)で文学博士となる。リール、ストラスブール、パリの各大学を経て、コレージュ・ド・フランス教授を務める。1945年アカデミー・フランセーズ会員。その間、アウグスティヌス、ボナベントゥラ、トマス・アクィナス、ドゥンス・スコトゥス、デカルトなどの哲学研究書を次々に刊行した。それは『中世の哲学』(1922)や『中世哲学の精神』(1932)が説くように、従来の誤った中世暗黒史観によって無視されてきた中世哲学のもつ意義を発掘し、近代に対する影響を示そうとしたものである。晩年には、哲学史的叙述のなかにも、新トマス派としての哲学的立場がしだいに強く現れていた。トロント大学(カナダ)の中世研究所の設立(1929)をはじめとして、20世紀前半の中世哲学研究の振興に指導的役割を果たした。
[香川知晶 2015年5月19日]
『服部英次郎訳『中世哲学の精神』上下(1974、1975・筑摩書房)』▽『渡辺秀訳『中世哲学史』(1949・エンデルレ書店)』▽『É・ジルソン著、峠尚武訳『中世における理性と啓示』(1987・行路社)』
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フランスの中世哲学史家,哲学者。パリで生まれ,デカルト哲学の中世思想的背景の研究で学界に登場,その後,中世哲学の本格的研究に専念,《中世哲学の精神》(1932)で世界的名声を博す。ストラスブール,パリ両大学で教えて後,1929年カナダのトロント大学に中世研究所を創設。とくにトマス形而上学における〈存在(エッセ)〉に関する独創的解釈と〈キリスト教的哲学〉をめぐる論争を通じて,思想家としての評価も高い。
執筆者:稲垣 良典
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