スウェーリンク(読み)すうぇーりんく(英語表記)Jan Pieterzoon Sweelinck

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スウェーリンク」の意味・わかりやすい解説

スウェーリンク
すうぇーりんく
Jan Pieterzoon Sweelinck
(1562―1621)

ネーデルラント作曲家、オルガン奏者。デーフェンテルに生まれる。やはりオルガン奏者であった父の教育を受け、1580年ごろ父の後任としてアムステルダムのオウデ教会オルガン奏者となり、1621年10月16日同地で世を去るまで、生涯その地位にとどまった。フランドル楽派最後の巨匠として、詩篇(しへん)、モテットなど多数の声楽曲を残しているが、とくにオルガン曲はバロック期の源泉の一つとして重要である。単一主題、三部構成のオルガンのためのファンタジアは、フーガ成立の先駆をなした。また、コラール変奏曲も重要。オルガン奏者としての名声はヨーロッパ北部にまで広まり、シャイト、シャイデマンら多数のドイツ人オルガン奏者を教育したため、「ドイツ人オルガン奏者づくり」とよばれた。

樋口隆一

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スウェーリンク」の意味・わかりやすい解説

スウェーリンク
Sweelinck, Jan Pieterszoon

[生]1562.4. アムステルダム
[没]1621.10.16. アムステルダム
オランダのオルガン奏者,作曲家。 J. S.バッハ以前のオルガン音楽の基礎を築いた一人。 1580年頃父親の跡を継いで,アムステルダムのアウデ・ケルクのオルガン奏者になる。出版された作品には,『カンツィオネス・サクレ』 (1619) などの宗教曲もあるが,スウェーリンクの名声は,オルガンの即興演奏と作曲によっている。単一主題によるフーガ様式のファンタジアやはなやかな音型をちりばめた変奏曲のほか,トッカータにもすぐれた作品を残し,またそれらの様式を S.シャイトや H.シャイデマンをはじめとするドイツの弟子たちに伝えるという役割を果した。

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