日本大百科全書(ニッポニカ) 「スゴンザック」の意味・わかりやすい解説
スゴンザック
すごんざっく
André Dunoyer de Segonzac
(1884―1974)
フランスの画家。正確にはデュノワイエ・ド・スゴンザックが姓。セーヌ・エ・オワーズ県(現在のエソンヌ県)のブッシー・サン・タントアーヌに生まれる。1900年、パリのエコール・デ・ボザールに入ってL・O・メルソンLuc-Olivier Merson(1846―1920)のもとで学び、ついでアカデミー・ジュリアンとアカデミー・ド・ラ・パレットでも学んだが、1906年から独自に制作を進める。1906年から1908年にかけて、初期の堅い構成と暗い色彩から離れて印象主義に向かうが、キュビスムに接してからは対象を単純化し、より明確な構造をつくりだす。さらにセザンヌの影響を受けて、パレットを明るくし、色彩を肉づけの手段として使い始める。このようにさまざまな傾向を吸収した結果、1920年ころには独自のスタイルを確立し、やや暗い色彩と重厚な表現により、風景画や静物画などの作品を残した。また、水彩画にも優れ、自然の印象を鮮やかにとらえた一連の作品には豊かな詩情が込められている。代表作に『ル・モラン川のボート乗りたち』(1924)などがある。パリに没。
[大森達次]