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水彩画 すいさいがwatercolour painting

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

水彩画
すいさいが
watercolour painting

顔料を水で溶かして描く絵のこと。一般には透明性顔料を用いて画紙の上に描く絵を水彩画という。水を溶剤としても不透明性顔料を用いたり,壁に描いたりする場合,たとえばテンペラフレスコは水彩画とは呼ばない。水彩画はすでに古代エジプトや中世の写本などにその例がみられ,またルネサンス時代には A.デューラーが水彩で風景画を描いている。これが独立した絵画の一部門として著しい発展をみるのは,18世紀後半のイギリスである。

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デジタル大辞泉の解説

すいさい‐が〔‐グワ〕【水彩画】

水溶性の絵の具で描いた絵。みずえ。

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大辞林 第三版の解説

すいさいが【水彩画】

絵画技法の一。水彩絵の具で絵を描くこと。また、それによって描かれた絵。みずえ。水彩。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

水彩画
すいさいが

水を媒介として描画・彩色する絵画技法、およびその作品。油絵(油彩画)に対比され、ウォーター・カラーwater colour(英語)、アクァレールaquarelle(フランス語)に相当する。水彩画の概念はかならずしも確定されてはいないが、分類的にはテンペラ画やフレスコ画をはじめ、ペルシア(イラン)、インドのミニアチュールもこれに属し、東洋の絵画は水墨画、漢画、大和(やまと)絵など伝統的な絵画のほとんどが水彩画であるが、一般にはこれらは水彩画とはよばない。なお、最近多用されるアクリル絵の具も水で溶くことが多いが、これらも水彩画と区別される。また水彩画は、淡彩を用いた素描(そびょう)と境界を明確にしにくい部分があり、美術館などでは、水彩画は素描の一種として分類、管理される。ここでは、紙を基底材とし、素描がされている・いないにかかわらず、多色の水彩絵の具で彩色された絵画について述べる。[八重樫春樹]

歴史

水彩画は扱いが手軽ではあるが、その発色や耐久性が劣ることから、テンペラ画や油彩画のように独立した作品として描かれることは少なく、それらの配色関係の試案、あるいは写生時の色彩の覚え書きのために描かれることが多かった。わずかに北方ルネサンスの巨匠デューラーが、それ独自で十分に鑑賞に堪える格調高い生物描写や風景の水彩画を何枚か残しているにすぎない。素描(デッサン)を愛したレオナルド・ダ・ビンチ、ミケランジェロ、レンブラント、ルーベンス、クロード・ロランらには水彩画とよぶべき多色の作品はほとんどない。
 水彩画が独立した絵画ジャンルとして成立するのは、18世紀初めフランスのフラゴナールによるとされるが、19世紀初めのイギリスにおいて確実にその地歩を固めた。イギリスの水彩画は、18世紀に流行した名所図絵的な風景水彩画から発達したものとみることができる。18世紀の末カズンズ父子Alexander Cozens(父)、John Robert Cozens(子)が出て、こうした無味乾燥な風景画に詩情に満ちた表現を与えた。19世紀のガーティン、コンスタブル、ターナーによるイギリス水彩画の発達はそうした素地のうえに築かれたものである。とくにターナーの、水によるぼかしを生かした透明度の高い作品は、後世の水彩画に大きな影響を与えた。その後、ロセッティやバーン・ジョーンズらのラファエル前派の画家たちは、中世のミニアチュールの復活を目ざして細密な水彩画を開発した。フランスではドラクロワがアフリカ北部の旅行でかいた水彩スケッチが近代水彩画の発端となり、ブーダン、マネ、シニャック、セザンヌ、ゴーギャン、ゴッホらが卓越した水彩画作品を残している。20世紀の画家たちのなかでは、デュフィ、ピカソ、カンディンスキー、クレーの名があげられる。日本で西洋的な水彩技法が取り入れられるのは明治になってからで、代表的な水彩画家としては浅井忠(ちゅう)、小山正太郎(こやましょうたろう)、三宅克己(みやけこっき)、中沢弘光(ひろみつ)、大下藤次郎、吉田博、中川八郎、石井柏亭(はくてい)、岸田劉生(りゅうせい)、中西利雄、石川欣一郎らがいる。[八重樫春樹]

材料

水彩画用の絵の具には透明水彩と不透明水彩があり、グァッシュは後者の一種である。単に水彩絵の具という場合、一般に透明水彩をさすことが多い。水彩絵の具は顔料にアラビアゴムとグリセリンを混ぜ合わせたものが主成分である。アラビアゴムは展色剤、接着剤の両方の働きをするが、これが多すぎると乾燥後にひび割れを生じやすい。グリセリンは強い保水力があり、絵の具と水のなじみをよくし、また絵の具の固まるのを遅くする効用がある。展色性の著しく悪い顔料の場合はシュガー・エステルを用いることもある。顔料は水中での沈殿現象を利用して得た極微粒子を用いる。水彩画の透明感は、この微粒の顔料のすきまから基底材の紙がのぞくことによって生じるものである。今日のような水彩絵の具は、1790年ごろイギリスで生まれた。初めは固型でせっけん状または小皿に入れて固めたもの、あるいは半固型で錫箔(すずはく)などに包んだもののみであったが、19世紀のなかばに注射器状のガラス容器が発明されて、練り物状絵の具が生まれた。これがチューブ入り絵の具の原型である。不透明水彩絵の具の成分も透明水彩絵の具のそれとほとんど変わらないが、アラビアゴムの量がいくぶん少なく、厚塗り、重ね塗りに耐えるための湿潤剤がグリセリンのかわりに加えられる。不透明水彩は白を加えることによって色を薄め、水を多量に用いることは少ない。
 水彩画においては、紙の選択も重要な条件である。用紙は天然漂白の亜麻(あま)ぼろ製のものが堅牢(けんろう)第一とされ、木綿ぼろを亜麻ぼろと混ぜて漉(す)いたものがこれに次ぐ。いずれにしても木質パルプの混合したものは、制作上も保存上も適さない。紙の厚さ・薄さ、吸水性の程度は、水彩画の効果に直接影響する。とくに吸水性の極端に高い場合は絵の具の発色と透明感を減ずるので、製紙時に膠水(こうすい)を加えてこれを抑える。かつてイギリスのワットマン紙が水彩画用紙として定評があったが、今日では製造されておらず、イギリスのデイビッド・コックスや、フランスのアルシュ社、イタリアのファブリアーノ社のもの、また国産ではMO紙が広く使われる。
 筆は直接、表現をするための武器であり、おろそかにできない。専門家はテンの毛、いわゆるセーブル・ヘアを用いたものを最良としている。[八重樫春樹]
『中西利雄著『水彩画の技法』(1965・美術出版社) ▽横山了平著、第一法規出版編・刊『水彩画の技法』全4巻(1983)』

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