スタイナー(読み)すたいなー(英語表記)George Steiner

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スタイナー」の意味・わかりやすい解説

スタイナー
すたいなー
George Steiner
(1929―2020)

イギリスの批評家。オーストリア系ユダヤ人を両親としてパリに生まれ、アメリカ国籍をもち、ケンブリッジ大学チャーチル・カレッジ特別研究員などを経て、ジュネーブ大学、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学などで教える。1959年に『トルストイかドストエフスキーか』で出発して以来、ヨーロッパ文学や思想への幅広い教養と多言語素養を軸にして、文明批評的な評論活動を国際的なスケールで行う。1974年(昭和49)には慶応大学の招待で来日し、日本の英米文学者や批評家たちと激論を交わすなど各界に深い印象を与えた。批評書としてはほかに『悲劇の死』(1961)、『言語と沈黙』(1968)、『脱領域の知性』(1971)、『青ひげの城にて』(1971)、『バベルの後に』(1975)、『アンティゴネー』(1984。邦訳『アンティゴネーの変貌(へんぼう)』)などがある。小説『サン・クリストバルへのA.H.の移送』(1981。邦訳『ヒトラー弁明――サンクリストバルへのA・Hの移送』)、自伝『正誤表』(1997。邦訳『G・スタイナー自伝』)などもある。

[富士川義之 2015年7月21日]

『中川敏訳『トルストイかドストエフスキーか』(1968/新装復刊・2000・白水社)』『由良君美他訳『言語と沈黙』上下(1969、1970/新装版・2001・せりか書房)』『由良君美他訳『脱領域の知性』(1972/新装版・1981・河出書房新社)』『桂田重利訳『青鬚の城にて――文化の再定義への覚書』(1973/改題『青ひげの城にて』・2000・みすず書房)』『ジョージ・スタイナー著、諸岡敏行訳『白夜のチェス戦争』(1978・晶文社)』『貴志哲雄・蜂谷昭雄訳『悲劇の死』(1979・筑摩書房/ちくま学芸文庫)』『海老根宏・山本史郎訳『アンティゴネーの変貌』(1989・みすず書房)』『ジョージ・スタイナー著、生松敬三訳『ハイデガー』(1992・岩波書店/改題『マルティン・ハイデガー』・岩波現代文庫)』『佐川愛子・大西哲訳『ヒトラーの弁明――サンクリストバルへのA・Hの移送』(1992・三交社)』『ジョージ・スタイナー著、工藤政司訳『真の存在』(1995・法政大学出版局)』『工藤政司訳『G・スタイナー自伝』(1998・みすず書房)』『亀山健吉訳『バベルの後に――言葉と翻訳の諸相』上下(1999、2009・法政大学出版局)』『ジョージ・スタイナー著、伊藤誓訳『言葉への情熱』(2000・法政大学出版局)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スタイナー」の意味・わかりやすい解説

スタイナー
Steiner, George

[生]1929.4.23. パリ
イギリスの批評家。オーストリア系ユダヤ人の子として生れ,1940年アメリカに亡命シカゴハーバード,オックスフォードの各大学に学び,『エコノミスト』誌の編集者を経て,ケンブリッジ大学特別研究員,ジュネーブ大学教授という国際的教養人。文学と社会の関係に鋭い洞察を示し,該博な知識を駆使した著書論文が多いが,なかでも『トルストイかドストエフスキー』 Tolstoy or Dostoevsky (1959) ,『悲劇の死』 The Death of Tragedy (61) ,『言語と沈黙』 Language and Silence (68) ,『治外法権享有者』 Extraterritorial (71) などの文学批評は有名。

スタイナー
Steiner, Max

[生]1888.5.10. ウィーン
[没]1971.12.27. ハリウッド
オーストリア生れのアメリカの映画音楽作曲家。 14歳オペレッタを発表,1914年に渡米し 29年にハリウッドに進出。『風と共に去りぬ』など多数の映画音楽を作曲した。3回にわたりアカデミー劇映画音楽賞を受けている。

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