スティーグリッツ(読み)すてぃーぐりっつ(英語表記)Alfred Stieglitz

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スティーグリッツ」の意味・わかりやすい解説

スティーグリッツ
すてぃーぐりっつ
Alfred Stieglitz
(1864―1946)

アメリカ近代写真の父といわれる写真家。ニュー・ジャージー州出身。青年期父母の母国ドイツへ留学ベルリン大学工学と写真技術を専攻し、その時期にアマチュアとして活動を始めた。当初ヨーロッパの絵画主義的写真に導かれた作品を撮っていたが、のちしだいに写真の特性を生かした独自な写真芸術観を確立してゆく。1890年アメリカに帰り、ニューヨークで写真家活動、編集、出版ならびにギャラリー運営に携わる。とくに同人雑誌『アメリカン・アマチュア・フォトグラファー』の編集(1893~1896)、『カメラ・ノート』(1897~1902)、『カメラ・ワーク』(1903~1917)の編集出版を通じてアメリカ写真界を指導、多大の影響を及ぼした。また1902年には写真芸術の自立標榜(ひょうぼう)してグループ「フォトセセッション」を創立し、1905年には同名のギャラリー(のちに「291」と改称)を、1925年には「アメリカン・プレイス」ギャラリーを開設し、ヨーロッパとの芸術交流、写真界・美術界の活性化に努めた。

[平木 収]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スティーグリッツ」の意味・わかりやすい解説

スティーグリッツ
Stieglitz, Alfred

[生]1864.1.1. アメリカ,ニュージャージーホーボーケン
[没]1946.7.13. アメリカ,ニューヨーク
アメリカの写真家。初め電気工学の研究のためドイツに留学したが,整色感光材料色素の合成に成功したフォーゲル教授と知合い,写真技術に熱中。 1890年帰国しストレート・フォトグラフィを標榜して,近代写真の新たな方向性を示した。 1900年同志と写真雑誌『カメラ・ノーツ』を発刊,02年にはフォト・セセッション運動 (写真分離派) を起し,『カメラ・ワーク』を編集発刊 (1903~17) 。近代写真の発展に尽すとともに,ニューヨーク五番街に画廊「291」を設け,スタイケンらとピカソマチスをはじめヨーロッパの近代美術の紹介に努めた。彼の作品ならびに近代美術の収集品は遺言によりワシントン D.C.のナショナル・ギャラリーに寄贈された。夫人は画家 G.オキーフ

スティーグリッツ
Stieglitz, Julius Oscar

[生]1867.5.26. ニュージャージー,ホーボーケン
[没]1937.1.10. シカゴ
アメリカの有機化学者。 1889年ベルリン大学で学位取得後,シカゴ大学で教え,化学科科長 (1915~33) 。分子の再配列,触媒,化学指示薬の理論,有機窒素化合物の研究を通じて,有機化学研究に原子価論,物理化学的方法を導入した功績で知られる。

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