スパイクタイヤ(読み)すぱいくたいや(英語表記)spike tire

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スパイクタイヤ」の意味・わかりやすい解説

スパイクタイヤ
すぱいくたいや
spike tire

雪道凍結路面でのスリップ防止のため金属のピンを打ち込んだタイヤ。ピンが道路を削るため、粉じん公害が問題になり、これを解決するため1990年(平成2)6月に「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」(スパイクタイヤ法)が成立し、使用が規制されることになった。その内容は、
(1)環境庁長官(現環境大臣)が知事の意見をきき、粉じん防止が必要なところを「指定地域」に指定する
(2)指定地域内では凍結・積雪道路を除いて使用を禁止する
(3)ただし消防車などの緊急自動車、障害者が運転する車は除外する
というもの。禁止規定は91年4月から施行、92年4月からは違反者に10万円以下の罰金が科されることになった。

[高島鎮雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スパイクタイヤ」の意味・わかりやすい解説

スパイクタイヤ
spike tire

表面に鋲 (スパイク) を打込んだタイヤ。スノータイヤ一種。氷結した路上で安定した駆動力と制動力を得るのに有効。もとは北欧においてタイヤの磨耗防止のために考案されたものといわれ,スパイクの形状により小型車用のピンタイプと大型車用のマカロニタイプに分けられる。超合金チップとシャンクというボディから構成され,全体がゴムに埋込まれていて,チップが氷面を突刺すことによって制動効果を高めるが,通常のアスファルト路面に接するとアスファルトを削り,路面をいため,騒音などの問題を生じる。さらに,アスファルトの粉塵が大気中を舞い,地域住民を取巻く環境悪化を招くとして,1990年「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」が制定され,使用禁止が強制化されるとともに,91年3月をもって販売が中止された。タイヤ業界はスパイクタイヤに代るスタッドレスタイヤ (鋲なしタイヤ) の開発を進め,現在これがスノータイヤの主流になりつつある。

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