日本大百科全書(ニッポニカ) 「スパベンタ」の意味・わかりやすい解説
スパベンタ
すぱべんた
Bertrando Spaventa
(1817―1883)
イタリアの哲学者。南イタリアのボンバに生まれる。1840年ナポリへ出てドイツ哲学を学び、1850年から1860年までトリノに滞在したのち、1861年ナポリ大学の哲学教授となり、イタリアにおける新ヘーゲル主義の中心人物として活躍した。トリノ時代におけるヘーゲル、とくにその主著『精神現象学』と16世紀イタリアの哲学者に関する研究が、スパベンタの哲学の基礎となる。ルネサンスの時代イタリアで生まれた近世哲学は、ドイツに移って観念論、とくにヘーゲルにおいて最後の発展を遂げ、それが19世紀のイタリアへふたたび帰ってきたと解釈する。『ヨーロッパ哲学との関連におけるイタリア哲学』(1862年完成。1908年刊)などの著作がある。
[大谷啓治]