スパルタクス(読み)すぱるたくす(英語表記)Spartacus

翻訳|Spartacus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スパルタクス」の意味・わかりやすい解説

スパルタクス
Spartacus

[生]?
[没]前71. ルカニア
古代ローマ時代の奴隷反乱の指導者。トラキア出身の剣闘士奴隷 (グラディアトル ) だったが,前 73年 70名余の仲間とともにカプアの剣闘士養成所から脱走牧人,農業奴隷,貧農を組織して,ローマ軍を再三破り,南イタリアを支配,最盛期にその軍勢は 12万を数えた。前 72年には執政官 (コンスル ) をも破り,副将クリコスを失ったが,すぐれた統率力と人格によって,奴隷軍を指揮。ガリア,ゲルマニアに奴隷たちを帰還させるためイタリアを北上,ガリア・キサルピナに達したが,内紛あるいは現地農民の抵抗,自然条件の困難さによるものか方向を転じて南下し,シチリアに渡り海賊との提携を企てたが失敗。元老院から派遣された M.クラッスス軍との戦闘で倒れ,残党もポンペイウス (大ポンペイウス) に掃討された。その反乱はローマ支配階級を戦慄させ,以後数々の伝説を生んだ。近代でもしばしば文芸の題材とされ,急進的な党派 (スパルタクス団) や競技 (スパルタキアーダ) にその名をとどめている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スパルタクス」の意味・わかりやすい解説

スパルタクス
すぱるたくす
Spartacus
(?―前71)

古代ローマの奴隷蜂起(ほうき)の指導者。トラキアのメディ人出身。ローマによってグラディアトル(剣闘士)とされ、カプアの剣闘士奴隷養成所に入れられた。紀元前73年、見物人慰み物になるよりは自由のために闘おうと仲間に呼びかけ、養成所を脱出して蜂起した。彼の指導により、ローマ最大の奴隷蜂起に発展し、壮烈な戦死(前71年3月ごろ)に至る2年間、無敵のローマ軍を巧妙な戦術でしばしば打ち破った。ローマの著述家によって、その戦術的能力はすべての将軍より高いと評価され、また、自由と解放を求めた闘いは、彼の名とともに今日に至るまで想起され続けている。

[土井正興]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android