日本大百科全書(ニッポニカ) 「グラディアトル」の意味・わかりやすい解説
グラディアトル
ぐらでぃあとる
gladiator
剣闘士または剣奴と訳される。エトルリアでは死者の霊を弔うため墓前で剣闘士の試合を行う習慣があったが、古代ローマがこれを継承した。この試合が見せ物として民衆に提供されるようになったのは紀元前105年以降である。戦争捕虜や奴隷などからなる剣闘士は、闘技場で仲間同士や猛獣と死ぬまで闘うことを強制された。民衆は死のゲームに熱狂したので、政治家はこれを提供して、高級政務官の選挙で票を得るため利用し、闘技場はコロセウムをはじめイタリア、属州を問わず、各地につくられた。
屈辱的な生活を強いられた剣闘士は、人間的自由の回復のため蜂起(ほうき)(スパルタクスの蜂起が有名)や逃亡を繰り返した。剣闘士同士の試合が廃止されたのは404年であった。
[土井正興]