腕足動物,有関節類の一グループの総称。専門的にはある属に限定されるが,一般には広い意味で使われている。名称は背殻肉部にある腕骨がばねのような形をしていることから,ラテン語のspira(らせん)に由来し,1816年,J.ソワビーによる命名である。ちょうつがい線が長く,横長で,ちょうどツバメが羽を広げた時の形に似ていることから,中国では石燕(せきえん)の名で呼ばれている。腹殻が大きく,その後端にちょうつがい面が発達しており,両殻の表面が放射状の条線によって覆われている。古生代シルル紀~二畳紀(2.42億~4.36億年前)にかけて生息し,多くのものが示準化石として役立っている。古生態の復元は困難であるが,非礁性のものが多く,殻中に含まれる希元素の研究から,限られた環境にしか住み得ない,狭生性の性格をもつと考えられている。古来,中国ではこの化石の粉末が漢方薬として用いられている。
→腕足類
執筆者:中村 耕二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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